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演習

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 俺たちは砂漠のど真ん中で簡単な演習を行なっていた。

 以前に俺は【5王連合軍】という魔王5人で作り上げた連合軍の指揮を1人で行っていたことがあるのだが、その時にはそれぞれのリーダーに連絡用の【アリカ☆】を渡していたからこそ迅速な連絡ができていたのだが、この世界では【キャラメイキング】が使えないので伝令に頼るしかないのだ。

 故に兵法を学ぶ為にも模擬戦を行っていた。

 クラウニーと1万の兵士達を半分ずつに分けて1日をかけて練習を行う。

 しかし、このクラウニーの弱いこと弱いこと。

 まさか5時間も経たないうちに相手が総崩れになるとは思わなかったのでその日の夜に反省点を教えてあげる。

「クラウニーちょっといいか?」

「はい、なんでしょうか?」

「何で俺が弓兵敬遠している中にお前は騎兵体を突っ込ませてきたんだ?」

「それは...、早く弓兵を倒して後ろの重装兵で攻めようかと思ったからで...」

「じゃあ俺が弓兵の前に重装兵を用意しているのが見えた上でそんな戦法をとったのか?」

 俺の言葉に「はいっ!」と答える彼女を見ていると頭が痛くなってくる。

「馬鹿か! 重装兵の防御力を軽装な騎兵で破れる訳ないだろう! 重装兵を打ち破れずにモタモタしているから弓兵でやられるのだ!」

「だから私はそんな重装兵無視して進軍せよと命令したんです! でもあの子達が思った以上に使えなくてですね、普通騎兵なら5メートルくらいジャンプできますよね!?」

 その言葉に俺はあんぐりと大きな口を開く。

「嘘だろ? お前まさか全員が自分くらい強いとか思ってないよな?」

「はい? 私ほど強くなくてもそのくらいできるでしょう?」

「できね~よ!! 馬鹿か! どこの世界に騎馬を5メートルもジャンプさせることのできる兵隊がいるんだ!!! そんなもいたらここの攻略がもっと遠のいていた!!!」

(と言うかそうなると余計に成功方での攻略無理じゃね?)

「取り敢えずああいうふうに劣勢になったら一回引くのが得策だ。 早めに逃げれば損害が少なく済むからな。 でもお前はそうしなかった。 なぜだ?」

「逃げるのは私のポリシーに反します!」

 彼女から溢れ出るポンコツ感が止められない!

「ああ...うん、分かった、次の作戦の指揮は全部俺が取るからお前はアンデットの軍団だけ任せる」

「はいっ!」

 思った以上にこの【冥帝】が馬鹿すぎる。

 このままでは将軍としての使い道がないので敵軍に特攻してもらう特攻隊になってもらおう。

 なぁに、所詮アンデットの軍団だ。

 クラウニーさえ生きのこれば敵軍をドンドン味方に引き入れて強化していけるからな...。

 そう考えると彼女が軍略を覚えてこなかったのも理解できる。

 目の前に再利用できるアンデットの種が沢山あるのだから、特攻すればそれだけ味方が増えていき有利になるのは明白だからだ。

 俺は彼女の肩を叩いてこう呟いた。

「うん、お前はそれで良い。 敵軍に特攻しろ! ただし俺の退避命令だけは絶対に聞いてもらうからな!」

「自信はありませんができれば退避します!」

 自信がないのはちょっと困るが、失うのがアンデットの軍団だけなら問題ないだろう。

 俺はため息を吐きながらも、クラウニーの扱いについて試行錯誤してみるのでした。
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