上 下
32 / 48

逆人質

しおりを挟む
「あらら、これはまずいわね」

 などと言いながら笑っているマリーはフラスの首を掴み盾にしてきたのだ!

「なっ!? そいつはもう瀕死だぞ!?」

「だから? まだ息はあるし貴方達はこの子から情報が欲しいでしょ?」

 それを言われると弱い!

「人質を散るつもりか?」

「ええ、ほんの一瞬ですけどね」

「飛んだ天使様もいたもんだな」

「問題ないわ、【8天勇者】とは言え人間1人と【守護天使】1人を失う事を天秤にかけるまでもないから」

「ぐっ! リウっ! 攻撃中止!」

 俺の言葉と共に妹は攻撃を中止する。

 その瞬間に光り輝く【ゲート】のような物が現れてその中に逃げ込むマリー。

 その姿を見て妹が叫ぶ。

「ね~ね! 逃して良いの!?」

「仕方ない...、俺達には情報が必要だ」

 マリーが光の中に消え去ると、俺たちの前には血まみれで倒れるフラスのみが残る。

「くそっ! だがこいつから【8天勇者】と【守護天使】の情報を引き出せればかなり楽になるぞ!」

 確かに【守護天使】の1人であるマリーは逃したが、その分フラスには情報を吐いてもらう事で代価を得ることにしよう。

 俺とクラウニーは早速アイシア城下町の征服に取り掛かりながら、フラスの傷はケロ次郎の回復魔法で治してもらうのでした。
しおりを挟む

処理中です...