164 / 169
水の大陸編
黒いドラゴン
しおりを挟む
ここは夢の中。
真っ暗な空間に私が立っている。
「ザーク...おいでよ...」
「誰...?」
「僕だよ...」
呼ばれるままに声のする方へと向かう。
何もない黒い空間を抜けると、そこは今日遊んだ海だった。
白い砂浜に青い海が広がっていて、初めて海を見た感動を思い出しそうになった。
「綺麗...」
私砂浜に打ち上げられている貝殻を拾おうとすると、突然海が真っ赤に染まった。
空は黒く染まり、持っていた貝殻は髑髏に変貌していたので投げ捨てた。
そして、どろっとしたような粘液が私の体にまとわりついてきたので、思わず彼女の名前を叫びながら声を上げてしまう。
「アオ!助けて!」
私の情けない声を聞いた何かは、がっかりしたような声で私を嘲笑していた。
「残念だよザーク...、君はもっと強くて悍ましい人だったのに...、どうしてこんなに弱虫になったんだい?」
そんな事を言われてもわからない。
怖いものは怖い、当然の反応をしているだけでなのに、なぜこんなに笑われなくてはいけないのか私にはわかるはずもない。
「どうしてこんな酷い事をするの?」
私は涙をこぼしながら声の主に問う。
「それはね...、君がどれだけ成長しているか確かめる為だよ...、そして君はまだ僕が思っているだけの成長を遂げていないみたいだからね、ちょっとだけ力を貸してあげるよ...」
震える私の心情など御構い無しに話を進めてくる存在の姿が露わになった時、私は驚愕した。
「黒いドラゴン...?」
そう、声の主の正体は黒いドラゴンだったのだ。
と言ってもなぜか顔以外の部分は霧のような物がかかっていて目視できないので、本当にドラゴンか曖昧だがおそらくドラゴンだろう。
だが彼の声を聞いていると、どこか懐かしい雰囲気を感じるので、恐らくだが初対面ではないのだと思われる。
彼は自分の名前を訪ねてくる。
「ねぇザーク、僕の名前覚えてる?」
私は首を横に降る。
「ううん...ごめんなさい覚えてない...」
「そうか...」
彼は悲しそうな声で俯いたが、数秒後にある提案をしてきた。
「じゃあさ、今ここで僕に新しい名前をつけてよ、君がつけてくれる名前なら僕は喜んで受け入れるから」
「名前?」
私は考える。
「...、クロとかどう?」
「クロ?」
「そうクロ」
「クロかぁ...、とりあえずそれでいいか、今の君は年相応の経験しか無いみたいだしね、早く成長して僕を解放してよね」
「貴方を解放?」
「そう、大陸の守護龍を殺して僕にかかっている呪いの楔を外して欲しいんだ、まだいっぱい楔があるせいで僕はここから出られないんだよ、君の心から...」
「私の心...?」
「そう、ここは君の精神世界で、僕はその中に囚われているんだ」
頭がこんがらががる。
なんで私の中にクロがいるのかもわからないし、私が彼を助ける必要もないのではないのかとさえ思っていると。
「あっ、今僕を助ける必要がないとか思ったでしょ?、僕を助けないと君の未来がどうなるか教えてあげるね」
彼がそう言い終わると、急に閃光がほとばしり、世界が白に包まれた。
真っ暗な空間に私が立っている。
「ザーク...おいでよ...」
「誰...?」
「僕だよ...」
呼ばれるままに声のする方へと向かう。
何もない黒い空間を抜けると、そこは今日遊んだ海だった。
白い砂浜に青い海が広がっていて、初めて海を見た感動を思い出しそうになった。
「綺麗...」
私砂浜に打ち上げられている貝殻を拾おうとすると、突然海が真っ赤に染まった。
空は黒く染まり、持っていた貝殻は髑髏に変貌していたので投げ捨てた。
そして、どろっとしたような粘液が私の体にまとわりついてきたので、思わず彼女の名前を叫びながら声を上げてしまう。
「アオ!助けて!」
私の情けない声を聞いた何かは、がっかりしたような声で私を嘲笑していた。
「残念だよザーク...、君はもっと強くて悍ましい人だったのに...、どうしてこんなに弱虫になったんだい?」
そんな事を言われてもわからない。
怖いものは怖い、当然の反応をしているだけでなのに、なぜこんなに笑われなくてはいけないのか私にはわかるはずもない。
「どうしてこんな酷い事をするの?」
私は涙をこぼしながら声の主に問う。
「それはね...、君がどれだけ成長しているか確かめる為だよ...、そして君はまだ僕が思っているだけの成長を遂げていないみたいだからね、ちょっとだけ力を貸してあげるよ...」
震える私の心情など御構い無しに話を進めてくる存在の姿が露わになった時、私は驚愕した。
「黒いドラゴン...?」
そう、声の主の正体は黒いドラゴンだったのだ。
と言ってもなぜか顔以外の部分は霧のような物がかかっていて目視できないので、本当にドラゴンか曖昧だがおそらくドラゴンだろう。
だが彼の声を聞いていると、どこか懐かしい雰囲気を感じるので、恐らくだが初対面ではないのだと思われる。
彼は自分の名前を訪ねてくる。
「ねぇザーク、僕の名前覚えてる?」
私は首を横に降る。
「ううん...ごめんなさい覚えてない...」
「そうか...」
彼は悲しそうな声で俯いたが、数秒後にある提案をしてきた。
「じゃあさ、今ここで僕に新しい名前をつけてよ、君がつけてくれる名前なら僕は喜んで受け入れるから」
「名前?」
私は考える。
「...、クロとかどう?」
「クロ?」
「そうクロ」
「クロかぁ...、とりあえずそれでいいか、今の君は年相応の経験しか無いみたいだしね、早く成長して僕を解放してよね」
「貴方を解放?」
「そう、大陸の守護龍を殺して僕にかかっている呪いの楔を外して欲しいんだ、まだいっぱい楔があるせいで僕はここから出られないんだよ、君の心から...」
「私の心...?」
「そう、ここは君の精神世界で、僕はその中に囚われているんだ」
頭がこんがらががる。
なんで私の中にクロがいるのかもわからないし、私が彼を助ける必要もないのではないのかとさえ思っていると。
「あっ、今僕を助ける必要がないとか思ったでしょ?、僕を助けないと君の未来がどうなるか教えてあげるね」
彼がそう言い終わると、急に閃光がほとばしり、世界が白に包まれた。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。


調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる