女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

水の大陸編

探し物

「これじゃない...」

　私はメイシスの部屋を漁る。
　何かヒントがないか探しているのだが、何も見つからない。
　勝手に漁っているので、バレる前に食事に戻りたいのだが、何も収穫が無いままでは流石に勿体ない。

「あのジジイ...、本当にアオがあの人と繋がりがあるのかしら？」

　私はどうしても引っかかっている。
　あの紙切れがアオの前で焼き切れたことに。
　あの人と見た目の部分で似てる所もあるが、戦闘の腕前などを見れば別人だと分かる。
　それにあの人と比べると肌の質感が柔らかく、どう考えても子供だ。
　私はため息を吐いた。
　ここに来て数年、あの人の手がかりは貰えずメイシスの仕事を手伝う毎日。
　しかも今度は妹を手にかけろって...、流石に頭に来そうにはなっているが、あの人の手がかりを知っているのはメイシスだけなので仕方なく手を貸している。
　だが、そろそろあの人に一目だけでも会いたいので、内緒でメイシスの部屋を漁っていたのだが、そろそろ怪しまれると思い探索をやめる。

「待っててね...、何年かかろうと私が...」

　彼女は散らかした物を全て綺麗に戻し、私が侵入した形跡を消した。

　(ここに何もないとすると後は...)

　考えを張り巡らしながら、彼になったつもりで考えて見る。
　私が彼なら、しっかりと肌身離さず持っていると思う...。
　でも、人一人を肌身離さず持つなんて事可能なのか？。
　より謎が深まる...、そもそもメイシスとは何者なのかという根本的な物が分からない。
　いつの時代からか、魔王の側近として使えて来た存在というくらいにしか知識がない。
　今は情報を整理する事を考えようと思う。

「そういえば、今日はアオちゃんが料理作っていたわね、少し楽しみだわ...」

　別の事を考えて気分を変えることにした。
　今真剣に考えても良い考えが思いつかないことは明白だったので、私は食事の間へと向かった。