女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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水の大陸編

龍の鼓動

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「こっちか!!?」

 俺とマオとアイカは建物の中に入り、ユウトを探索していた。
 さっきユウトの声が上から聞こえたので、建物内をくまなく探していると「あっちに階段があるよ!」とマオが指差した。

「でかした!マオ!」

「えへへ~、もっと褒めていいよ~」

 綻んだ笑顔を見ると緊張感がほぐれるが、今は3万8千ゴールドの約束があるので、彼を助けることを優先する。

「ユウトのことなんぞどうでもいいが、3万8千ゴールドは大事だからな、先を急ぐぞ」

 そういうユウリだが、ほかの2人はそれだけではないと分かっていた。
 彼の人格は決して悪い物ではないことは、これまでの旅のおかげで察していた。
 アイカもレスカの記憶から彼の存在を見ていたが、一人で旅をすることを強いられるような人ではないと思った。
 2人は少し不思議そうな表情で俺を見てきたので、俺は声をかける。

「そんな顔してないで行くぞ!、この先にユウトがいるはずだ!」

 3人が階段を駆け上がっていると、大きく建物が揺れた。

「なんだ!?地震か...?」

 俺は手すりを掴むながら態勢を保っていると、アイカの表情が変わったことに気がついた。

「どうしたアイカ!」

「...、いる...!」

 彼女はそれだけ呟くと階段を1人で駆け上がっていく。
 それを見た俺たちは彼女を追いかける。

「一人で行くなって」

 俺が彼女に追いついたと思ったら、そんなことはどうでもよくなるような場面が展開されていた。
 紫ブンブンが黒い鍵爪の様な物で、青い鱗を切り裂いた瞬間だった。

「なんだアレは...」

 俺は思わず自分の目を疑った。
 なぜなら、青い鱗を持つ者はドラゴンだったからだ。
 青く細長い体に美しい水色の翼、緑色の瞳がブンブンを映していた。

「見つけた...」

 アイカはそのドラゴンを見ると、自身もドラゴンの姿に変貌し加勢する。
 彼女の炎の方向がブンブンを襲うと、タクヤがこちらに気がついた。

「ドラゴンが2体!?、どうなっているんだ...」

 流石に困惑した様な表情を浮かべ、ブンブンに命令を下す。

「...、ブンブン...、撤退だ...」

 彼はブンブンの背中に乗ると捨て台詞の様に呟いた。

「兄さん、今回は邪魔が入ったから見逃すけど...、今度会ったら絶対に逃がさない...」

 彼は機械の駆動音を全開にし、勢いよく建物の壁を突き破り姿を消した。

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