女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

水の大陸編

タクヤの過去

　僕は兄さんを信じていた。

「おーい兄さん！、今度はなにをすれば良い？」

「おータクヤ！、それをそっちに持って行ってくれ！」

　僕と兄さんは仲が良かった。
　一緒に色んな物を開発し、人々の役に立っていたと思う。
　そして...。

「もう！、ちょっとは休憩しようよ...」

「悪かったなアサミ...」

　アサミと呼ばれる少女は少し勝気な女の子だった。
　なぜか僕たち兄弟についてくる子だったのだが、僕には分かっていた、彼女は兄さんが好きだったのだ。
　なんだかんだこの3人でやっていけていたある日。

「タクヤ、俺は勇者になろうと思うんだ...、これから先、魔王による進行が考えられる...、ここはお前とアサミに任せるが大丈夫だよな？」

「兄さんがそうしたいなら僕は応援する、ここは僕たちに任せて！」

　少し寂しそうな彼女を見ながら、僕は兄さんの旅立ちを見送った。
　その数ヵ月後、兄さんのいない生活にも慣れて来た頃だった。

「アサミ、それをこっちに持って来てくれ...アサミ...？」

　僕が彼女の名を呼んだ時、彼女はゴロツキ共に殺された後だった。
　その場に居合わせた白い髪の老人に話を聞いた。
　彼の話によると、ユウトの命令によりゴロツキ達がやってきてアサミを殺したと言う。
　最初は信じられなかった僕だが、なぜか彼の言うことが真実の様に思えてきた。
　そして、僕は彼の仲間となり、ザーク様復活の為に尽力を尽くすことにした。