女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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水の大陸編

タクヤとユウト

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 タクヤの載っているブンブンがユウトに向かって駆け出した時!。

「奇跡!聖なる壁!」

 聞き覚えのある声と共に半透明の壁がユウトの前に出現し、ブンブンの衝突を食い止めた。

「大丈夫ですかユウト!」

「カナメ!アウラ!」

 彼が仲間の名前を呼ぶと、タクヤの顔が怒りの形相を浮かべていた。

「兄さん...、やっぱり外で女作ってたんだね...、僕達がどんな思いで兄さんを待っていたか知りもしないで...」

 なんだろう、タクヤの様子がおかしいとアイカとマオは思った。
 先程まで、あんなに楽しそうにしていた彼の姿はどこにもない。
 今あるのは、何かに取り憑かれたようにユウトを睨む男の姿だけだった。

「タクヤ、なんかお前変だぞ?、お前らしくもない、ほら昔見たいに皆でワイワイしようぜ」

 ユウトはあくまで明るく振る舞うが、タクヤの表情はより深みを増していく。

「ワイワイしよう?昔みたいに?...、だったら返せよ...僕の友人達を全員返せ!」

 ブンブンを最高速度になるまでそこら中を駆け巡り、そのあとでユウトに突撃して来た。
 カナメが奇跡を使うが今度は簡単に破られてしまう。
 だが、全くをもって無意味では無かったようで、速度をある程度殺せている。
 これならばユウトでも耐えられる。
 剣を引き抜き、ブンブンの衝突を前のめりに受け止めた。
 少し後ろに下がってしまったが、なんとかなったので一息つこうとするが、そんな暇を与えてくれない。
 すぐさま走行し始め、再び速度を溜める。

「話くらいしやがれタクヤ!」

「兄さんと話すことなんてない!ここで死んでくれ!」

 彼は叫びながらブンブンを走らせている。
 壁をも走るその姿は、まるで高速で動き回るクモのようであった。

「あんなの何度もうけきれないぞ...」

 ユウトはチラチラと俺の方を見てくる。

「なんだ?、兄弟喧嘩に俺を巻き込むきか?」

「いや、お前に依頼だ、1万やるから一緒に戦ってくれ」

「嫌だ」

 俺は即答する、たかだか1万でだ~れが手伝って...

「なら3万8千だ!」

 俺は拳を鳴らしながら「しょうがないな~」と仕方なさそうに構える。
 俺が剣を引き抜くと電撃が飛び散る。
 それを見たマオが目を輝かせながら大声で叫ぶ。

「ユウリなんだそれ~!!!、かっこよすぎ~!!!余に頂戴!」

「誰がやるか!、これ高いんだぞ!」

 こんな茶番をしていると、タクヤのブンブンがこちらに向かって来た。

「ユウト!俺に合わせろ!」

「いいぜ!」

「ぃっせーの!!」

 電撃と火炎の剣が、ブンブンの機体にぶち当たり、一時的に活動を停止させた。

「くそっ!!」

 ブンブンが動かなくなり、タクヤが一度ブンブンから降りてユウトを睨む。

「話を聞いてくれタクヤ!」

「うるさい!、兄さんとは話にならない!僕達をあんな目に合わせておいて話!?笑わせるな!」

 なぜタクヤがユウトにこのような態度をとるのか、彼には分かっていなかった。
 なぜどうして?、タクヤは俺をこんな目です睨むのか?
 答えはタクヤの過去にあることを、彼は知らない...。


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