女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

水の大陸編

ローケンの時期王候補

「やめろ！！」

　俺は彼女を振りほどく。
　だが、そうしても彼女は俺にまとわりついてくる。

「我は待っておったのじゃ、お前のような男を...、我より強く逞しい男をな...」

「逞しい男ならそこらへんに沢山いるだろ！、そこにも、そこにも！」

　俺は衛兵達を指差しながら叫ぶが、彼女は首を横に振る。

「ダメなのよ、我は自分より強い男でないと、一緒になるなんて考えられないの！」

　俺にベットリと纏わりついてくる彼女が正直な所鬱陶しく感じる。

「てかお前、さっきから一人称定まってないぞ！わざとか！」

「わざとなのじゃ！...よ？...かな？、ユウトはどっちがいい？」

(こいつふざけてるのか？、分からん...)

　俺はやれやれと言うように首を振る。

「とりあえず、王への侮辱罪は無しになるよな？」

　彼女は礼儀正しくスカートを捲り上げる。

「はい、ユウト...、いえ、未来の旦那様...♡」

「はい？」

　俺は耳が腐ったのかと思い、聞いてみる。

「おい、今言った事をもう一度言ってみろ」

「未来の旦那様...♡」

「...、まさかとは思うが、俺の事じゃないだろうな？」

「そのまさかです♡」

　俺は一目散に逃げ出した。

「カナメ！アウラ！、逃げるぞ！！」

　勢いよく仲間の名前をあげながら駆け出したが、彼女の素早さを舐めていた。

「逃がしませんよ...♡、私の旦那様...♡」

「その旦那様って言うのやめろ！、誤解される！」

　そんな俺の様子を見た仲間達は、微かに笑っていた。