女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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水の大陸編

VSプリシラ

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 俺と彼女が剣を引き抜いて睨み合う。
 俺は彼女の戦闘スタイルに目を疑った。

(二刀流だと...?、舐めてるのか?、それとも本当にその使い手なのか?)

 なぜか不気味に感じる。
 不安そうな顔をしたのか、彼女が不敵に笑った。

「どうしたユウト?、怖いのか?我が...」

 調子に乗ったその笑顔が無性にムカつく、まるでユウリの顔だ。

「怖い?...、その逆だぜ!、俺はお前みたいにお高く止まった奴らが大嫌いなんだ!」

 俺の生まれ育った大陸では、裕福な層とそうではない層でかなりの差ができている。
 俺が勇者になったのも、弟達を楽にさせてやりたい一心で頑張っていたのだ。
 仕送りも充分したし、多分いい生活できていると思う。
 魔王もいなくなったのでお土産でも買おうと、この地に降り立ったのが運のつきで、まさかこんなことに巻き込まれるなんてな...。

「どこを見てるの?」

 プリシラは双剣をふるいながら、もうそこまで迫っていた。
 戦闘に関係のない事を考えていた俺は、一瞬出遅れる。

「ユウト!」

 仲間の声叫び声が聞こえた。

「大丈夫だ...」

 なんとか受けきれたので一安心する。

(思ったよりもやるな...、気を抜いていたとはいえ、剣圧もなかなかだ...)

 彼女の大体の実力を掴んだ俺は呼吸を整えて、次の手を考える。
 僅差だが、俺の方が実力は上だろう。

「せっかくの登場で悪いが、速攻で決着をつけさせてもらうぞ!」

 俺が火炎を纏った剣で彼女をなぎ払う。

「紅蓮剣!」

 彼女が双の剣で受けるが、あっけなく飛ばされて尻餅をついた。
 それを見逃す俺ではない、彼女の喉元に剣を突きつけて「俺の勝ちだ」と宣言する。
 たしかにこの大陸内では最強クラスかもしれない彼女だが、俺は世界を旅してきた勇者だ、王国内でぬくぬくしていたやつに負けるわけにはいかない。
 どれ、こいつの悔しそうな顔でも拝んでやるか。
 俺が彼女の顔を見てみると、なぜか嬉しそうにこちらを見てくる。

「...ユウト...」

 彼女が俺の名前を呟きながら、頰にキスをしてきたときには、流石の俺も焦っていた。
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