女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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水の大陸編

王都フロウル

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 竜車が静止したと同時に俺は起き上がる。

「着いたか...」

 俺が竜車から飛び降りると、親父はこっちを見て何か言いたそうにしていた。
 だいたいなにが言いたいかわかるので先に言ってやる。

「ワシと組んで業者をやってくれ!...だろ?」

 親父の声と合わせて言ったので、彼は驚いていた。
 まあ、こんな質問されるのは慣れっこだったので、先にこういえば断りやすいのだ。

「残念だけど、俺にはやる事があるんだ...、業者はできない」

 そういうと、親父は少し残念そうな顔をしたが、しょうがないと折れてくれたので安心した。
 たま~に中々折れてくれない人もいるので面倒くさい時もある。
 俺が財布を出すと、親父に止められた。

「いや...いい...、お前さんには魔物狩り分の報酬を払うより、そっちの方が安くつきそうだからな...」

 俺はふっと笑った...、流石業者だ、俺が金を払い終えた後で魔物狩りの請求が来ると思ったのだろう。
 それならば、無料にすると言う恩を売り、此処まで運んだ手間賃を無料にした方が合理的なのだ。

「感謝するぞ、親父!」

 竜車の親父は笑いながら王都の中に入って行く。
 さて、俺も行こうかな...。
 水の大陸の王都にはあまりいい思い出がないので、二人を探し見つけた後に、装備を整えてさっさと退散しようと思っている。
 水の大陸の王都内に住んでいる人間は、正直好きになれないのだ...。
 そんなどうでもいい思い出など、今は胸のうちにしまって置こう。
 とりあえず俺だけでも、先に装備品を買い揃えておくか...。
 ここまで素手と魔法で戦ってきたが、流石にここから先の大陸で、丸腰なのは危険だ。
 主に魔力が尽きた時の戦闘も仮定しないといけなくなってくる。
 それが分かっているだけでも、俺の旅は決して無駄では無かったと実感出来るので笑える。
 俺はほくそ笑みながら、王都内に姿を消した。


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