女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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水の大陸編

業者上がり

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 俺は船着場にいる竜車の業者に尋ねて見る。

「すまないが、王都まで運んで貰えないだろうか?」

 竜車の親父はこちらを睨む様に見てくるが、気圧される俺ではない。
 こんな奴らとは、ごまんと渡り合ってきた経験を活かし、強気な態度を崩さない。

「3000!」

 親父が声を張り上げながら値段を行ってくるが、俺は負けじと返す。

「500!」

「馬鹿言うなよな嬢ちゃん!!2800」

「無料!!」

 親父は無料と聞いて、吹き出しながら笑う。

「そりゃないぜ嬢ちゃん!!」

「冗談だ、...間をとって1500くらいか?」

 そろそろ真面目に商談する。

「1600だ...、それ以上はまけられねぇ」

「OK交渉成立だ」

 俺は1600ゴールドを手渡した。
 親父はそれを受け取ると、準備をし始める。
 始まりの大陸に比べると、どの大陸も竜車の値段は高めだ。
 なぜなら、始まりの大陸の魔物が一番弱く、安全なので、竜車での移送も簡単に行えるからである。
 彼の用意が終わると、倉庫らしき場所から石竜を呼び出してくる。
 もしもこの場にレスカとマオが居れば、どんな反応をしただろうか?、そんな考えが出てきた自分を笑った。

「嬢ちゃん乗ってくれ、他の荷物も運ぶんで、少し狭いが我慢してくれや」

「...、大丈夫だ、慣れてる」

 昔ダインと一緒に、同じような業者生活をしていた経験があるので、少々のことではうろたえない。

「なんか嬢ちゃん...、肝が座ってるな...、まあいいけど...」

 親父の、俺を見る目が少しずつ変わり始めていたが、気にしないことにする。
 俺は勇者だが、面倒事には首を突っ込みたくないだけなのだ。
 皆は勇者といえば、無償で働くいい人だと思っているが、俺は違う。
 ちゃんと仕事に対する報酬はきっちりともらう派だ。
 物と物の間に挟まられるように座り込み、少し眠ることにした。
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