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水の大陸編
青い三輪車「ブンブン」
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「なんじゃこりゃ~!!」
マオが興奮したように声を上げ、タクヤが誇らしげにそれを指差している。
私も正直な感想を述べると驚いている。
そこには、青いボディが煌めく、三輪車のような物があったからだ。
三輪車と聞いて誤解するかもしれないが、子供が乗るようなアレではない。
どちらかと言えば、青いバイクが前輪一つ、後輪二つになった様な感じだ。
「カッコいいな~!!、なあタクヤこれ動くのか!?」
興奮が収まらない様な口ぶりではしゃいでいる彼女だが、彼は俯く。
「実はこれ...、今壊れてるんだ!、直すのにドラゴンの爪がいるんだけど...、もうこの大陸にはドラゴンがいなくて...」
申し訳なさそうに頭に手を置く彼。
「ムゥ~、そうなのか~...、ん?ドラゴン...?」
彼女の視線が次第に私へと移ってくる。
そしてゆっくりと近づいてきてニッコリと笑顔を見せながら要件を小声で言ってくる。
「ねぇアイカ...、爪ちょうだい...」
彼女の言いたいことはわかるが、私は何となく不快な気分なのだ。
ドラゴンの爪が足りないとはどう言うことなのだろうということだ。
燃料とは考え辛いし、この魔道具のパーツだとしても、おかしいと感じる。
だが、彼女にこれだけ期待された目で見られると断るわけにはいかない。
私は仕方なく人差し指の爪を削って彼女に渡した。
それを受けとった彼女は勢いよくタクヤの場所に行き、こう叫んだ。
「タクヤ!、余はドラゴンの爪を持っているぞ!」
彼は驚いた様に叫ぶ。
「なんだって!、それは本当かい!?」
マオからそれを受け取ると、早速三輪車に挿入した。
「マオから貰ったこれが本物なら動くはず...」
一瞬の静寂の後に三輪車の起動音が聞こえてきた。
エンジン音の様なそれは、機械の呼吸の様にも思える。
「やった!!」
彼は操縦席に座り、その後ろにマオと私がくっつく様に座る。
「しっかり僕に掴まってて!、結構速いから!」
彼がハンドルの様な物を引っ張ると、エンジン音が高鳴りをあげ、後輪が動き出す。
すごいスピードで走り始める機体を見たマオが歓喜の声を上げた。
「すっごい!!、余の走るスピードより早い!」
「ハハッ!、これは昔の人達が残した魔道具だからな!、ブンブンって言うんだ格好いいだろ~!!」
私は古代人のネーミングセンスはないなと思ったが、彼女は「ブンブンって言うのか!それはかっこいいな!!」と言っていたので、ツボが似ているらしい。
遺跡を脱出し、森の方面に出てくると、日差しを浴びた三輪車の色が赤色に変色していく。
変だとは思ったが、古代人の技術など私は知らないのでそう言う物なのだと思うことにした。
マオが興奮したように声を上げ、タクヤが誇らしげにそれを指差している。
私も正直な感想を述べると驚いている。
そこには、青いボディが煌めく、三輪車のような物があったからだ。
三輪車と聞いて誤解するかもしれないが、子供が乗るようなアレではない。
どちらかと言えば、青いバイクが前輪一つ、後輪二つになった様な感じだ。
「カッコいいな~!!、なあタクヤこれ動くのか!?」
興奮が収まらない様な口ぶりではしゃいでいる彼女だが、彼は俯く。
「実はこれ...、今壊れてるんだ!、直すのにドラゴンの爪がいるんだけど...、もうこの大陸にはドラゴンがいなくて...」
申し訳なさそうに頭に手を置く彼。
「ムゥ~、そうなのか~...、ん?ドラゴン...?」
彼女の視線が次第に私へと移ってくる。
そしてゆっくりと近づいてきてニッコリと笑顔を見せながら要件を小声で言ってくる。
「ねぇアイカ...、爪ちょうだい...」
彼女の言いたいことはわかるが、私は何となく不快な気分なのだ。
ドラゴンの爪が足りないとはどう言うことなのだろうということだ。
燃料とは考え辛いし、この魔道具のパーツだとしても、おかしいと感じる。
だが、彼女にこれだけ期待された目で見られると断るわけにはいかない。
私は仕方なく人差し指の爪を削って彼女に渡した。
それを受けとった彼女は勢いよくタクヤの場所に行き、こう叫んだ。
「タクヤ!、余はドラゴンの爪を持っているぞ!」
彼は驚いた様に叫ぶ。
「なんだって!、それは本当かい!?」
マオからそれを受け取ると、早速三輪車に挿入した。
「マオから貰ったこれが本物なら動くはず...」
一瞬の静寂の後に三輪車の起動音が聞こえてきた。
エンジン音の様なそれは、機械の呼吸の様にも思える。
「やった!!」
彼は操縦席に座り、その後ろにマオと私がくっつく様に座る。
「しっかり僕に掴まってて!、結構速いから!」
彼がハンドルの様な物を引っ張ると、エンジン音が高鳴りをあげ、後輪が動き出す。
すごいスピードで走り始める機体を見たマオが歓喜の声を上げた。
「すっごい!!、余の走るスピードより早い!」
「ハハッ!、これは昔の人達が残した魔道具だからな!、ブンブンって言うんだ格好いいだろ~!!」
私は古代人のネーミングセンスはないなと思ったが、彼女は「ブンブンって言うのか!それはかっこいいな!!」と言っていたので、ツボが似ているらしい。
遺跡を脱出し、森の方面に出てくると、日差しを浴びた三輪車の色が赤色に変色していく。
変だとは思ったが、古代人の技術など私は知らないのでそう言う物なのだと思うことにした。
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