115 / 169
水の大陸編
質問
しおりを挟む
トクトクトク...。
タクヤは丸いカップにお湯を注いでいる。
「3分ほど待ってね、そしたら出来るから」
料理なのだろうか?、ただお湯を入れただけに見えるが...。
彼は待てば出来ると言っているので、この3分間を利用して彼に話を聞いてみる。
「ねえ...、タクヤさん、この大陸の作物事情はどうなっているの?、海に潜っても魚はいないし、森を探しても食べられる物どころか動物すらいない...、これはおかしいですよね...」
彼は驚いたような表情で私を見てきた。
「驚いたな、その年でもう狩りをしているのか!、まあ他の大陸から来たのであれば、この大陸が不自然に感じてもおかしくはないか」
それぞれのカップにお湯を注ぎながら彼は答えてくれた。
「実は水の大陸は今大変なことになっているんだ、この大陸は発達しすぎた魔法技術の代償に大陸全土を魔素で汚染しているんだよね」
「魔素ってなんだ?」
相変わらずアホそうな声でマオが質問したが、彼は笑って答えてくれる。
「ハハッ、魔素っていうのは大陸中にある微量な魔力な塊で、そこから魔法を使う者もいるんだけど、水の大陸ではそれを利用して、誰でも魔法を使えるようになる魔道具を生産流通しているんだ」
そこまで言うといい事のように思えたが、彼の次の言葉でいい事だけではないと思った。
「でもね、大陸中にある魔力を無理に道具に転換しすぎた僕たちの大陸は、再生能力を失っていっているんだ、例えばだけど...、今もしもこの大陸で木を一本切り倒したら、もう二度とそこから木は生えてこないんだ」
「それって...」
私は息を飲んだ、この大陸の人たちは便利と引き換えに、自分達の住処を滅ぼしているのだ。
ならば、魔道具の生産を終わらせればいいのではと思うかもしれないが、そういうわけにも行かないらしい。
読者にわかりやすく言えば、車が排出するガスが地球に悪いからと言っても、乗る人が沢山いるようなものである。
それだけ魔道具とやらは重宝されているのだ。
お湯を作ったポッドや、他の大陸に流通している魔道具もほとんどはここで生産して輸出しているらしい。
大分先の話とは言え、いずれは資源が取れなくなるというのに、人間は身勝手だなと私は思った。
3分経ったので、丸カップの蓋を彼は取る。
「どうぞ、ただお湯を注いだ物が食べ物に早変わりさ」
フォークを突き刺して麺のような物を口に運ぶ彼を見ると、お腹が空いていたのを思い出した。
「いただきます」
マオと私は同時に麺をすすると、目を丸くした。
確かにお湯を3分入れただけにしては美味しくできている。
味もしっかりしていたので驚いていると、彼は笑っていた。
タクヤは丸いカップにお湯を注いでいる。
「3分ほど待ってね、そしたら出来るから」
料理なのだろうか?、ただお湯を入れただけに見えるが...。
彼は待てば出来ると言っているので、この3分間を利用して彼に話を聞いてみる。
「ねえ...、タクヤさん、この大陸の作物事情はどうなっているの?、海に潜っても魚はいないし、森を探しても食べられる物どころか動物すらいない...、これはおかしいですよね...」
彼は驚いたような表情で私を見てきた。
「驚いたな、その年でもう狩りをしているのか!、まあ他の大陸から来たのであれば、この大陸が不自然に感じてもおかしくはないか」
それぞれのカップにお湯を注ぎながら彼は答えてくれた。
「実は水の大陸は今大変なことになっているんだ、この大陸は発達しすぎた魔法技術の代償に大陸全土を魔素で汚染しているんだよね」
「魔素ってなんだ?」
相変わらずアホそうな声でマオが質問したが、彼は笑って答えてくれる。
「ハハッ、魔素っていうのは大陸中にある微量な魔力な塊で、そこから魔法を使う者もいるんだけど、水の大陸ではそれを利用して、誰でも魔法を使えるようになる魔道具を生産流通しているんだ」
そこまで言うといい事のように思えたが、彼の次の言葉でいい事だけではないと思った。
「でもね、大陸中にある魔力を無理に道具に転換しすぎた僕たちの大陸は、再生能力を失っていっているんだ、例えばだけど...、今もしもこの大陸で木を一本切り倒したら、もう二度とそこから木は生えてこないんだ」
「それって...」
私は息を飲んだ、この大陸の人たちは便利と引き換えに、自分達の住処を滅ぼしているのだ。
ならば、魔道具の生産を終わらせればいいのではと思うかもしれないが、そういうわけにも行かないらしい。
読者にわかりやすく言えば、車が排出するガスが地球に悪いからと言っても、乗る人が沢山いるようなものである。
それだけ魔道具とやらは重宝されているのだ。
お湯を作ったポッドや、他の大陸に流通している魔道具もほとんどはここで生産して輸出しているらしい。
大分先の話とは言え、いずれは資源が取れなくなるというのに、人間は身勝手だなと私は思った。
3分経ったので、丸カップの蓋を彼は取る。
「どうぞ、ただお湯を注いだ物が食べ物に早変わりさ」
フォークを突き刺して麺のような物を口に運ぶ彼を見ると、お腹が空いていたのを思い出した。
「いただきます」
マオと私は同時に麺をすすると、目を丸くした。
確かにお湯を3分入れただけにしては美味しくできている。
味もしっかりしていたので驚いていると、彼は笑っていた。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。


調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる