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火の大陸編
気にいらない
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「くそッ...、メイシスの奴...」
私は影で一人壁を蹴飛ばして怒っていた。
「こんな紙切れに一体何があるっていうのかしら...」
そう、見た感じただの紙切れになのだ。
特別な魔力を感じるわけでもなく、普通の紙で作られた紙切れ。
私はため息を吐きながらボ~っとそれを眺めていると。
「おや?、アウス様ではございませんか?」
と声をかけられ、気がついた。
そこには桜色の髪にイルカのヘアピンをつけたアオが立っていた。
「ええ、そうだけれど...、何かようかしら?」
「はい、実はアウス様にメイドのなんたるかを手ほどをしていただく為に探して回っていたのです」
頭を少し下げてから、人に頼むような口調で優しくハッキリと要件を言う彼女の姿は、とても子供の様には見えない。
「ちょっと失礼だけど...、あなた今いくつ?」
「年齢ですか?、私は13ですが...、それがどうかしましたか?」
彼女の年齢に私はびっくりした、嘘をついている様にも思えないので、本当に13歳なのだろう。
「あなたは私と違って魔族なのでしょう...?、その姿で13歳は...」
「いえ、私は人間です!」
私は再びびっくりする。
「あなた人間だったの!?」
あっさりと正体をバラすアオに驚きを隠せない。
そもそも人間が魔王城にいるだけでもあり得ないのに、彼女は魔王の側近なのだ。
私のセンサーが何かに反応した。
この子に対するメイシスの動きが、明らかに異常なことも先日の件で確認済みだ。
(この子にはきっと何かある)
私は彼女の申し出を受けることにした。
もしかしたら、メイシスの目的を掴めるかもしれない...。
そうでなくても近づけるかもしれない、そう思うと笑いが止まらない。
「アウス様?」
彼女が私を不安そうに見えてきたので、笑顔を振りまく。
「分かったわ、でも私は厳しいわよ...」
「覚悟の上です...、これでもメイドとして、メイシス様には鍛えられてますからね、アウス様の手ほどきにも、頑張ってついて行くつもりです!」
両手の拳をを握りしめて、胸の前に置いて自身のやる気をアピールしているようだった。
だが次の瞬間、彼女の目が丸くなり、私に指を突きつけてきた。
「アウス様!、手に持つが焼けていますよ!」
「え?」
彼女の言うとおり、メイシスから貰った紙切れが燃えている。
慌てて放り投げると、紙切れが燃えたまま文字を浮かべる。
当たりと...。
「当たり...?、アウス様どう言うことでしょうか?」
(...、メイシスの奴、私にこの娘が重要であると、知らせることが報酬と言いたかったのね...)
私は回りくどい彼のやり方が気に入らず、つい舌打ちをしてしまった。
「アウス様?」
「ええ、なんでもないわ、さあ行きましょう...」
私は笑顔を作り、彼女の方を見る。
(大丈夫、時間はきっとまだまだある、その時が来るまではゆっくりと情報集めをしましょう...)
私は焦りはしない...、私の目的の為にこの子は利用させてもらう事にする。
彼が私にヒントを与えたのは初めてだったので、実際のところからかわれているだけなのかもしれないが、この子を自分の手駒にできれば、これから先、私の立ち位置が安定するのは分かりきっている。
ザークは、この子のことを気にいっている様だったからだ。
王の気にいる者をしっかりと守っていれば、王はその守る者も気にいる、単純な思考だが結構使えるやり方だ。
(大丈夫、彼らはきっとまだ生きている...)
自分に言い聞かせるようにその言葉を繰り返す。
自分の目的の為ならば、たとえこの子でも平気殺す度胸はつけているつもりだ。
なに、私の手はもうとっくの昔に汚れてしまっているのだから、この程度の事であれば平気でできる。
そうでなければ、龍の守護者を殺すなどと言う行為は絶対にしない。
私はもう、戻れないところまで来てしまっている、無論引き返すつもりなどない。
私はただもう一度、彼らと...。
いやよそう、今は偽りの友情を作るのが先決だ。
「今日は荒れそうね...」
何故かはわからないが、今日の天気を見てそう感じた。
私は影で一人壁を蹴飛ばして怒っていた。
「こんな紙切れに一体何があるっていうのかしら...」
そう、見た感じただの紙切れになのだ。
特別な魔力を感じるわけでもなく、普通の紙で作られた紙切れ。
私はため息を吐きながらボ~っとそれを眺めていると。
「おや?、アウス様ではございませんか?」
と声をかけられ、気がついた。
そこには桜色の髪にイルカのヘアピンをつけたアオが立っていた。
「ええ、そうだけれど...、何かようかしら?」
「はい、実はアウス様にメイドのなんたるかを手ほどをしていただく為に探して回っていたのです」
頭を少し下げてから、人に頼むような口調で優しくハッキリと要件を言う彼女の姿は、とても子供の様には見えない。
「ちょっと失礼だけど...、あなた今いくつ?」
「年齢ですか?、私は13ですが...、それがどうかしましたか?」
彼女の年齢に私はびっくりした、嘘をついている様にも思えないので、本当に13歳なのだろう。
「あなたは私と違って魔族なのでしょう...?、その姿で13歳は...」
「いえ、私は人間です!」
私は再びびっくりする。
「あなた人間だったの!?」
あっさりと正体をバラすアオに驚きを隠せない。
そもそも人間が魔王城にいるだけでもあり得ないのに、彼女は魔王の側近なのだ。
私のセンサーが何かに反応した。
この子に対するメイシスの動きが、明らかに異常なことも先日の件で確認済みだ。
(この子にはきっと何かある)
私は彼女の申し出を受けることにした。
もしかしたら、メイシスの目的を掴めるかもしれない...。
そうでなくても近づけるかもしれない、そう思うと笑いが止まらない。
「アウス様?」
彼女が私を不安そうに見えてきたので、笑顔を振りまく。
「分かったわ、でも私は厳しいわよ...」
「覚悟の上です...、これでもメイドとして、メイシス様には鍛えられてますからね、アウス様の手ほどきにも、頑張ってついて行くつもりです!」
両手の拳をを握りしめて、胸の前に置いて自身のやる気をアピールしているようだった。
だが次の瞬間、彼女の目が丸くなり、私に指を突きつけてきた。
「アウス様!、手に持つが焼けていますよ!」
「え?」
彼女の言うとおり、メイシスから貰った紙切れが燃えている。
慌てて放り投げると、紙切れが燃えたまま文字を浮かべる。
当たりと...。
「当たり...?、アウス様どう言うことでしょうか?」
(...、メイシスの奴、私にこの娘が重要であると、知らせることが報酬と言いたかったのね...)
私は回りくどい彼のやり方が気に入らず、つい舌打ちをしてしまった。
「アウス様?」
「ええ、なんでもないわ、さあ行きましょう...」
私は笑顔を作り、彼女の方を見る。
(大丈夫、時間はきっとまだまだある、その時が来るまではゆっくりと情報集めをしましょう...)
私は焦りはしない...、私の目的の為にこの子は利用させてもらう事にする。
彼が私にヒントを与えたのは初めてだったので、実際のところからかわれているだけなのかもしれないが、この子を自分の手駒にできれば、これから先、私の立ち位置が安定するのは分かりきっている。
ザークは、この子のことを気にいっている様だったからだ。
王の気にいる者をしっかりと守っていれば、王はその守る者も気にいる、単純な思考だが結構使えるやり方だ。
(大丈夫、彼らはきっとまだ生きている...)
自分に言い聞かせるようにその言葉を繰り返す。
自分の目的の為ならば、たとえこの子でも平気殺す度胸はつけているつもりだ。
なに、私の手はもうとっくの昔に汚れてしまっているのだから、この程度の事であれば平気でできる。
そうでなければ、龍の守護者を殺すなどと言う行為は絶対にしない。
私はもう、戻れないところまで来てしまっている、無論引き返すつもりなどない。
私はただもう一度、彼らと...。
いやよそう、今は偽りの友情を作るのが先決だ。
「今日は荒れそうね...」
何故かはわからないが、今日の天気を見てそう感じた。
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