女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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火の大陸編

ザークの怒り

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 ...、帰ってきたのだが、なんだか城の様子がおかしい。
 なんだろう?...。
 私とクロリアは急いで駆けだす。
 庭園まで戻ると、違和感の正体に気がついた。
 メイシスが、アオの首根っこを掴みギリギリと締め上げていたのだ。

「ザーク様をどこにやった!!、吐け!!」

「私は...、何も知りません...」

 メイシスとアオのやり取りを見た私は、怒りが心の奥底から湧き出してくる。
 メイシスが私に気がつくと、アオをあっさりと離してこちらに駆け寄ってきた。

「ザーク様!、今までどちらにいらしたのですか?」

 心配そうな顔で私を見てくるが、正直どうでもいい。
 咳をこみながら喉を抑えるアオの様子見るに、相当な力で抑えられていたということがわかる。

「なんで、アオにあんなことしていたの?」

「それはですな...、あの者がザーク様をどこかに連れて行ったと勘違いをしてしまいまして...」

 勘違い?...、いいや違う、それだけであそこまで痛めつけていい理由にはならない。

「メイシス!!」

「はっ!」

 私が彼の名前を叫ぶと、膝を地面につき、頭を下げる。

「あなたはアオに対する態度を改めなさい、今回の件は私の身を案じての行動でしょうが、それでもここまでの暴行を許すわけにはいきません」

「...、承知しました...」

 少し声のトーンが低いが言わせてやったことに意味がある。
 メイシスがアオに暴行を加えるシーンに出くわし、それを私が正したのならば、彼も表立ってアオに危害を加えられなくなるだろう。
 これで少しがアオへの八つ当たりが減ってくれればいいのだが...。
 この状況を生み出した不快感の塊である彼に、私は良い印象は持っていない。
 実は私は、彼のことを一切信用していない。
 なぜかはわからないが、彼だけは信用してはならないという感情が最初から芽生えていたのだ。

「アオ!大丈夫!?」

 私は彼女に近づいて様子を見る。
 彼女は首を撫でながら「大丈夫です...」と言いつつも、顔色が悪い。
 プレゼントを渡すような雰囲気ではないので後日渡そうと思う。
 なぜメイシスがここまでアオを嫌うのか知らないが、目に余る行為を続けていることは知っている。
 まだこれでもメイシスが嫌がらせを続けるようであればいっそ...。

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