女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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火の大陸編

初めての海

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 私はゲート抜けると、見知らぬ浜辺にいた。
 青い海、白い砂浜、眩しい太陽、目に映る物全てが珍しく感じる。
 潮風が私の肌を駆け抜けた時には思わず「キレイ...」と呟いていた。
 なぜかはわからないが、私の心が満たされ、この情景を見れただけでも、外に来た価値はあると思える。

「暑いのう...」

 彼女がメイド服のままで、すごく暑苦しそうだったので、好きな服を着ても良いと命令を出した。

「そうか?、悪いの...」

 彼女が指を弾くと、魔王城に来た時と同じ服を着ていた。
 それでも長い服なので、暑苦しそうだが、彼女にとってはそれでいいらしい。
 さっきまでは暑さでだれていたのに、もう澄ました顔でこちらを見てくる。
 私は彼女を見て少し笑った。

「なんじゃ?、妾の顔に何かついとるか?」

「いや、クロリアがいるのが面白いなと思って...」

「?、おかしなことを言う人じゃのう...、妾はずっと横にいたではないか!」

 自分がずっといたことを強調して伝えてくるが、そう言うわけではない。
 ただ、その人が横にいると言うだけでふと面白く感じたのだった。
 彼女は何がおかしくて私が笑っているのかわかっていないようで、キョトンした顔をこちらを見ている。
 それがおかしくてまた笑ってしまう。

「まあ、なんにせよ、そなたがそれだけ笑ってくれたのなら、連れ出した意味があると言うものよのう」

 彼女は胸に手を置いて、静かに喜びを表しているようだった。

「...、ところで...、別に海を見に来たわけではなかろう、アオちゃんの髪飾りを見に町の方に行くぞ」

「う...うん...、でももうちょっとだけあなたと海を眺めていたい...、ダメ?」

 私は自分の欲を彼女の押し付けては悪いと思いつつも、後ちょっとだけ海を見ていたかった。

「...、しょうがないのう、もうちょっとだけじゃぞ...」

 自分のわがままが通ったことに感謝する。

「やっぱり...綺麗だな...」

私は数分間、海の偉大さと雄大さをその瞳で堪能した...。
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