女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

火の大陸編

あれっ？こんな仲だったっけ？

「うう～ん...」

　私は自室で頭を抱えていた。

「なんじゃザーク殿...、そのような難しい顔をして...」

　メイド姿のクロリアに声をかけられたのでびっくりした。
　アウスが返ってきてから、彼女の変態行動が落ち着いてきたので、自制できていないだけだったと発覚した時には怒りそうになった。

「クロリア...か...、普段頑張ってもらっているアオに何かプレゼントをしたいと思って、色々考えているんだけど...」

　そう呟いた時に、彼女は目を輝かせて私の手を握りしめてきた。

「それはいいのう！！、妾も手伝うぞ！」

　あまりの人格の変貌ぶりに、私は半笑いだった。

「そんな性格だったけ？、クロリアって...」

「ん？、まあ良いではないか！、主人に好意を向けられているとは...、従者として、アオ殿は幸せ者だな！」

　笑い声をあげる彼女に今までのような不快感はなく、代わりに清々しい気持ちになれた。

(そんな発言もできるのか...、クロリアはただの変態ではないのだな...)

　彼女の変わりっぷりに少し感心していると、彼女がパチンと指を弾いた。

「そうだ！、髪飾りなんてどうじゃろうか！、町に行けばそれくらい大量にあるじゃろうし、髪飾りなら貰っても困らんからな！」

　意外とまともな回答に、私は拍手する。

「おお～、そうだな、クロリアに教えられるとは思わなかった、ありがとう！」

　礼を言いながら笑顔を向ける。
　渾身の笑顔にやられたクロリアは、顔を手で覆う。

(反則じゃ！、その笑顔は！)


「ちなみに...、町って何？」

　私の唐突な返しに、彼女の意識は現実に戻されたようだった。