女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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火の大陸編

船室

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「火の大陸から出るのは初めてね...」

 急にそんなことを言い出したので、俺とマオが声の方向に向いた。

「そうなのか?」

「ええ、私は生まれも育ちも火の大陸だったから、他所の大陸の事情は何も知らない」

「余も全く知らないから、アイカと同じだな!」

「あなたよりかは、火の大陸の事情を知っている分、マシだと思うけど...」

 澄ました顔でマオに視線を送るアイカ。
 少し悔しそうにしているが、事実なのでしょうがない。

「はいはい、そこまで、全くお前たちは喧嘩ばっかりだな、少しは自重してくれ」

 俺はやれやれと手を振るが、マオは気に入らないとでも言うような顔のまま口を尖らせる。

「ムゥ...、でも余は悪くないし、生意気な態度とるアイカが悪い...」

「あらあら、そんなことを言うマオの方が悪いと思うけど?」

 この状態になると言い合いが始まるので本当に困る。
 喧嘩するほど仲が良いとは言うが、これでは今後の戦闘などにも影響しかねない。

「言ったそばから喧嘩すな!、いちいち仲裁する身にもなってくれ!!」

 一触即発の状況が続くので、俺の精神力がゴリゴリ剥られる。
 この二人が一緒にいると本当に疲れる...。
 二人ともそっぽを向いてしまい会話にならない。
 俺がため息を吐いて、船室から離れていく火の大陸をボーっと見ていた。

(これから先大丈夫か...?)

 そう思いながらも、船は水の大陸を目指して進んでいた。
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