女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

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火の大陸編

豪華な夕飯

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「うまうま...」

 俺たちは豪華な飯を食べながら舌を唸らせていた。
 俺は唐揚げを一気に2個頬張りながら酒を飲む。
 普段酒など飲まないので新鮮に感じる。
 ただ、3杯までにしておく、それ以上飲むと悪酔いするからだ。

「うん!美味い!!」

 俺が楽しそうな雰囲気を作ろうとするが、他の二人のテンションはあまり上がっていないようだ。
 今までこんなことは無かった、マオがアホなことをやって、それをレスカと俺が止めるという構図が生まれない。
 妙にマオが大人しいのと、レスカがさっきから何も喋らない。
 いつもならこの辺で「マオちゃんがあれを欲しそうにしていましたよ」とか「ユウリ!その食べ方はやめたほうがいいですよ!」などの言葉が来るはずなのだが、今日は何もない。

「お前らもちゃんと食えよ、じゃないとここにある飯がもったいない、俺一人じゃ食い切れないしな」

 マオが大食いクラスに食べてくれることを期待して、調子に乗って注文を大量にしたのだが、今日は彼女の箸の進みが良くない。
 マオは何度か食べ物を口にしては、レスカの方をチラチラ見ている。
 それに気がついた彼女は笑顔を向けているのだが、なぜかぎこちなく感じる。
 レスカの笑顔がぎこちなく感じたのは初めてだ、まるで紛い物のような...。
 俺はそこまで考えるとマイナス思考を止める。
 とりあえず今は仕事終わりの食事を楽しみたい。
 パーティ内の嫌な雰囲気はいずれなくなるだろうと思っている。
 ふと気になったことがあったのでレスカの質問してみる。

「そういえばレスカ、アイカはどうなってんだ?、飯食わないか聞いて見てくれ」

 彼女は少し慌てたように「ちょっとまってくださいね」といい体を交代させた。

「...、これでいい?」

 アイカの姿現れた時、俺は唐揚げを彼女の前に出す。

「食えよ、お前も俺たちのパーティの一員だからな、飯一緒に食うのは当たり前だ」

 唐突に出された唐揚げを恐る恐る口に運ぶアイカ。
 一口食べてみると「...美味しい...」と表情が和らいだ。
 彼女は気がつくと唐揚げを口に運び始めていた。
 それを見たユウリは満足そうに言う。

「そうそう、子供はちゃんと食べないとな、レスカみたいに大きくなれないぞ」

 余計なことを言ったのでアイカはユウリのスネに蹴りを入れた。
 龍族の脚力で蹴られたのでめっちゃ痛い。(語彙力低下)

「痛ってぇぇ!!」

「ユウリが余計なこと言うからそうなるの...」

 と言いながら飯を食べ続けるアイカ。
 俺は嫌がりながらも食べている彼女を見て少し安心した。
 何だかんだ、打ち解けてくれているので悪い気はしない。
 少しでも親睦を深めて、今後に期待したいのだ。
 龍族がパーティにいる勇者など、世界広しといえど俺だけだろう、それがたまらなく心地よい。
 調子に乗って頼んだ飯は、アイカがほとんど一人で平らげてしまった。

「あと食後のデザートを一つ...」

 デザートをねだって来る姿は可愛らしいのだが、毎日これだけ食われると食費のことが心配になってくる。

「...、アイカ、すごいな、あんだけ食ってまだ入るのか」

「...?、誰でもこれくらいは食べるでしょ?」

「お前みたいな小さい子は普通こんなに食べねーよ!」

 思わずツッコミを入れてしまう。
 彼女はキョトンとした目で俺を見て来る。

「まあ...、お前にはレスカを救ってもらった例があるからな、今日は特別だぞ」

 デザートを注文しようとすると、アイカがメニューを開いて「コレッ」と指差してきた。
 そこには大食いチャレンジのジャンボパフェが載っていた。
 食べ切れればお代がタダになるのだが、すでにご飯を食べた後のアイカにこれを食い切れるとは思えない。

「普通のにしないか?」

 と俺は提案したが、彼女は頑なにチャレンジしようとするので、3000ゴールド支払う覚悟でチャレンジすることにした。
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