女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

文字の大きさ
上 下
64 / 169
火の大陸編

対談

しおりを挟む
「で、この有様というわけじゃ」

 私はメイシスに報告する。
 彼はは顎の白ひげをさすりながら、こちらをまじまじと見据えている。

「なるほど...、で、ザーク様はどうなられたのかな?」

 返答次第ではタダでは済まないと思い、出す言葉を考える。

「妾はただちょっとほっぺたを突いただけじゃ...、あの火傷はそちらのメイドが勝手にやっただけ...、妾はいわば被害者というわけじゃ」

 自分の火傷を負った部分を見せびらかす。
 私の言葉を聞いた後、彼の目付きが少し変わる。

「ほう、こちら側が全て悪いというのですな...」

 空気の変わりようを読んで多少の訂正をする。

「まあ、妾もそちらのメイドを揺さぶるような発言をしたのも事実...、ここは痛み分けということで手を打たぬか?」

 お互いが悪いと言い換えて、彼の機嫌を伺う。

「さようか...、ならば今回はそういうことにしておきましょうかな...、クロリア...」

 彼がふうっと息を吐くと、先ほどの重たい空気は消えたので安心する。

(この爺さんは昔から苦手じゃ...、何でも知っているかのようなあの目が...)

 魔王城で彼に出会った時から、それは変わらない。
 私は彼の目の色を伺いながら逃げるようにその場から離れようとすると。

「待て」

 止められる。
 私はゆっくりと彼の方に振り向く。

「なんじゃ?、まだ何か用か?」

 正直早く解放してほしい、またレスカちゃんに会いに行きたいのだ。

「確かにこの状況の事情は大体わかったが...、ザーク様に怪我をさせたのもまた事実...、お前には3日間の謹慎処分を言い渡す!」

 彼の言葉に私は固まってしまった。

「なぜじゃ!?、妾がなぜそんなこと言われねばならない?」

 私は訳が分からないと、腕をあげて笑う。

「お前はもう少し自重というものを知ってほしいですな、今回の件も派手に動いて結局勇者に悟られてしまったのでしょう?」

 彼の言いたいことはわかる...、確かに、私は勝手に動いて楽しんでいた。
 なぜなら、とても可愛い子たちが多かったからであり、女の子で遊ぶことは、食事をするという生理現象のようなものだから仕方ないのだ。
 私が不機嫌そうな態度をとると。

「なら五日ですな...」

「それはやめるのじゃ!!」

 私はふくれっ面で彼を睨むと、彼はハハハと力強く笑っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

処理中です...