女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

火の大陸編

ザークの容姿

　扉を開いて中を確認する。
　薄暗い部屋の中に、白い布を被せている場所がある。
　多分あそこで睡眠しているのだろう。
　私が近づいて現魔王の顔を確認した。

「むにゃぁ...」

　私はザークの寝顔を除いて卒倒しそうになる。

(なんじゃ！この可愛い生き物は！)

　心の中で叫ぶ。
　アオも相当レベルが高かったのだが、ザークの容姿はそれを遥かに超えている。
　彼女がザークのメイドでいるのもこれが理由なのかもしれないと思うほどに、ザークのインパクトはすごかった。
　私はつい我慢ができずに、頬っぺたをプニッと突ついてみる。
　嫌そうに顔がしかめっ面になるがそんな所も可愛らしくてつい虐めたくなってしまう。
　プニプニと突つくたびに、柔らかい肌の心地よさが指越しに伝わってくる。

(可愛いのう！！、まさか、このような幼子とは思っても見なかったわ...)

　イメージと全然違う見た目だったので、興奮が収まらない。
　つい顔を近づかせてしまう、私の荒い鼻息が当たったのか、ザークはゆっくりと目を開いた。

「アナタハ...、ダレ...？」

(声も可愛い！！)

　カタコトだが可愛い声なのは変わりない、そんなザークを放っておけずに抱きついてしまう。
　迷惑そうなザークを尻目に、頬ずりしてザークの柔らかいプニプニほっぺの弾力楽しんでいる。

「可愛いのう！可愛いのう！、ザーク殿、妾のお嫁さんにならんか？、なぁに生活の保障はするぞ、ただ笑顔で支払ってもらうがのう...」

　私は手をいやらしく動かしてザークに見せびらかす。
　ザークを自身も身の危険を感じたのか怯えた声で助けを呼ぶ。

「タスケテ！アオ！」

　その時だった。
　魔王の部屋へとアオが来ていて、圧倒的な存在感を放っている。
　私ですら見逃すことができないくらいの殺気を放ち、こちらを血眼のように睨んでいる気がする。
　振り向いてアオの存在を確認すると、私は舌を出して笑っていた。