女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

火の大陸編

考えすぎか？

「うわ～い！」

　マオが水着姿で駆け回る。
　白い砂浜の上ではしゃぐ様はもう人間の子供と遜色ない。

「魔王のくせにこれくらいではしゃぐなよ...」

　俺はつい本音を呟くと、マオが怒った様子で両手を握って上下に振る。

「だってだって、余は初めてなんだもん！、海水浴とか！」

　頰をプク～膨らませて俺を見てくるので、俺はマオの頭をポンっと叩いた。

「俺もだ」

　俺自身も海水浴などしたことがない。
　そんなことをしている余裕がなかったのもあるが...。
　昔のやり方に疑問を抱くようになってきていた。
　息抜きもなしにレベリングの毎日。
　早く魔王を倒して、レスカに会いたかったのが理由だが、今思うと余裕がなかったのがよくわかる。
　マオと一緒にいると、本当にこいつが世界を脅かしていた魔王なのかと、今でも思う。
　こいつに世界支配できるだけの器はないと言い切れる。
　だが、俺の行く道をいつも塞いできたのは間違い無くマオだったいうならば、不自然な点が見られるのだった。

(マオの頭脳で、俺を止めれるだけの作戦を考えつくわけがない)

　マオには悪いが、そう考えるのが妥当だと思えた。
　俺は男の時に、何度も魔王の部下を名乗る連中とやりあってきたが、どいつもこいつも魔王の命令だと言いふらしながら死んでった。

(考えすぎなのか？、いや....)

　そこまで考えると誰かに腕を掴まれた。
　俺は急な肌触りにへんな声を上げた。

「ヒャッ！」

「ユウリ、難しい顔してないで早く遊びましょう」

　腕を掴んだのはレスカだ、彼女は俺の腕を掴んで海の方に行こうと指差していた。
　レスカの性格的に、俺が難しい顔をしているのが気になったのだ、笑顔で話しかけていたが、内心では俺を心配しているのだろう。
　その証拠に、俺の腕を掴んだ時のレスカの手が少し震えたきがする。

「そうだな、よ～し、今日は遊ぶぞ！」

　俺は若干の気持ち悪さ感じながらも、今はこの時間を楽しむことに力をいれる。