女体化した勇者と魔王が一緒に旅するようになった理由

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

文字の大きさ
上 下
8 / 169
始まりの大陸編

昼食

しおりを挟む
 俺は仲間とともに町に戻る。
 そして、近くの飲食店に入り好きな物を頼む。
 幸いにもこれまでの金策のお陰でお金は結構持っている。
 今のレベルが下がろうとも、レベルMAXだった時代は結構長かったので充分な貯蓄はしてあるのだ。

「好きな物を頼んでいいぞ」

 俺はレスカに視線を向ける。

「いえ、出来るだけ安い定食にしておきます、ユウリの稼いだお金なので大切に使わないといけませんし...」

(やっぱレスカはいい子だな、それに比べて...)

 俺は魔王に視線を移す。
 かなり迷いながらも高額な食事にばかり目が行っているのが丸わかりだ。
 俺とレスカが合わせて1000ゴールド程度なのに対して、一人で2000ゴールド以上使おうとしているのだ。

「余はこれがいい!」

 最終的に魔王が選んだのは2300ゴールドもするホーケン牛のステーキだったので勇者は店員にメニューを言う時にこう叫んだ。

「焼き魚定食が二つにお子様ランチ一つ」 

「勇者よ!、話が違...」

 俺は魔王の口を手で押さえて店員に早く行けと命じる。
 店員は見てはいけない物を見たような顔でそそくさと店奥へと逃げる。
 勇者は魔王を小馬鹿にしたように言い始める。

「レスカをママと勘違いするくらいのお子ちゃまにはお子様ランチで充分だろ」

 勇者はニヤニヤしながら魔王をムカつく顔で見つめている。
 魔王は子供のように腕を振る。

「勇者よ!、余は子供ではないぞ!」

「さっきママ~って泣いてたのはどこのどいつかな~?」

 それを言われると何も言えない魔王。
 ム~と唸りながらふくれっ面で勇者を睨むが、スライム一匹倒せない奴に睨まれても何も怖くない。
 レスカが魔王をなだめているが魔王の怒りはなかなか収まらない。
 しばらくすると料理が運ばれてくる。
 俺とレスカはふつうに食べていくが魔王はお子様ランチの旗に目を輝かせていた。
 まずオムレツの卵をすごい美味そうに食べていく。
 次に子供用に一口サイズに刻まれたウィンナーを頬張って笑顔を見せている。
 最後にランチの上にある旗を掲げて喜ぶ様は魔王ではなく、単に無邪気な子供にしか見えない。

「余は感激したぞ!、よもやこれほどまで素晴らしいランチがあるとはな!」

(ただのお子様ランチに何言ってんだか...)

 めっちゃ感激してる魔王を尻目に俺は黙々と食事を進めていくが、レスカは魔王の食べる様に目を奪われて食事が進んでいない。
 俺は大きくため息をつき(このパーティ大丈夫か?)と思いながら一人旅の楽さを実感している勇者だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

処理中です...