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【あの日】

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【帝王が召喚されたあの日】

 そう語るライファー様は静かに呟き始めました。

「まずはそうねぇ...、私たちが本来存在していた以前の世界の事は話さなくてもいいかしら? ここに来てからのことだけで良いわよね?」

「はい、お願いします」

「分かったわ、じゃあお話を始めましょうか」

 彼女はそう呟くと風を上手に動かしながら1人の少女...、もとい【大帝】様を描きました。

「ある所にフリーズと言う少女がいました、彼女は私達【帝王】を従えていたのですが、こちらの世界にある【王国サティア】の王に【次元龍】討伐の為に呼び出されました」

 初っ端からすごい言葉が飛び出してくる。

(【大帝】達は!?)

 驚く私の表情にクスッと笑いながらも続ける彼女。

「しかし、【次元龍】の力はとても凄まじく、我らと対等くらいの実力でしたが、沢山の【眷属】と我ら【帝王】数人の犠牲もあって少女は勝利を得ることができました」

(何とか【次元龍】に勝つ事ができたのか...、そりゃそうだよな...、そうじゃなかったらは来ていなかっただろうし...)

「最初こそ見返りを求めていた少女ですが、【サティア王国】に存在していた王国の姫フィナと仲良くなった少女は無償でサティア王国の危機を救う事にしたのです」

(あの【次元龍】との戦いを無償で行う事なんて...、相当その少女と仲良くなったのでしょうね...)

 私が少し微笑ましく思っていると...。

「勝利を得た少女が凱旋しサティア王国に戻るとあら不思議、彼女が守ろうとしていた筈の存在は実の父である【サティア王】によって磔にされ処刑されていました」

 その言葉に思わず私は言葉を漏らす。

「なんで...?」

 私の言葉に彼女は淡々と答える。

「王が言うには少女が姫と仲良くしていたのを見て王国を救う対価として【大帝】がしていたようでした」

(馬鹿な! 裕福な親が子を殺す事なんて...!)

 そうは思っていてもそれは起こってしまった事なのでしょう。

「我らが【大帝】はその時に人間に対してのを向けてその王国を滅ぼしたのです」

 しかし、それで話は終わりません。

「その後【大帝】様は【次元龍】を異次元に追放した後で人間狩りを行うことにしたのです、この世界の人間を全て滅ぼす為に【眷属】を【聖典】から生み出し、【祭壇】にて各地へと送りその名前を世界へと轟かせたのでした」

 予想外の事もありましたが、大体この世界で起きたことの真実が分かってきました。

(なんて事だ、【大帝】を呼び出したのが人間って事になると、この世界の住民がこうなることはある意味なんじゃ...ないのか?)

 この世界の住民が問題を解決する為に他の世界の住民を利用して怒りを買った。

 ただそれだけの話なのではないのか? 

 そう言う疑問に苛まれてしまい、思考が安定しなくなってしまうのでした。
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