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上陸③

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「「うう~ん...」」

 2人が目覚めるのを確認した私はすぐさま朝食...もとい朝食用の桃を用意した。

「はいはい2人とも、早速朝ごはんにしましょうか」

 綺麗に盛り付けた皿を2人の前に出す私。

「ケロナお姉ちゃん?」

「ケロナお姉様?」

「はいはいはい、取り敢えずこの果物を食べてみて」

 私の出した桃を2人とも口に含む。

 もにゅもにゅもにゅ...。

「「んっ」」

「美味しい!」

「美味しいですわ!」

 やはり子供舌にこの味は効果抜群なようだ。

 トロリと舌でとろける柔らかさに甘すぎる程の糖度。

 この二つが合わさればどんな子供でも今の2人のような笑顔になってしまうだろう。

 私の用意した桃を楽しみながら食べていた2人でしたが...。

 急にハッとしたように私の方をみてすごい形相を浮かべてきました。

「ケロナお姉ちゃん! 私達さっき早すぎって言ったよね!? もうちょっとゆっくり走って! 」

「そうですよ! 私達ちゃんと言いましたし何度も叫びました! どうして止めてくれなかったんですか!?」

 2人の凄い迫力に気圧される私でしたが、すぐさま機転をきかせこの窮地を乗り切ります。

「2人とも気がついていないだろうけど、実はあの海流に大王イカよりも大きいクジラがいたんだよ、だからスピードを出してさっさとあの海流を抜け出したかったって訳」

 苦しい言い訳かもしれないが、まだ現実味のある言い訳だろう。

 2人とも最初は考えていましたが、次第に信じてくれました。

「そうだよね...、そうじゃないとお姉ちゃんが私の話を無視するなんてありえないし...」

「そうですわね、ケロナお姉様にはケロナお姉様なりの考えがあっての行動だったという訳ですね」

 2人とも子供だからちょろい。

 適当な嘘でも簡単に騙せてしまう。

 本当は私がただその時の気分で早く走らせたかっただけだと言うのにね...。

 まあ、朝食も用意してあげた事だし本当の事は黙っておいてもいいよね?。
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