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潜入

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 案外警備体制がザルだったようで簡単に侵入することができました。

 私は早速階段を見つけてそこを登っていきました。

『ノエル? 敵の気配はある?』

 インカム越しツカサの声が聞こえてきたのでこう返す。

「いまのところ敵はいない」

『そうか……じゃあそのまま奥まで進んで』

「了解」

 しばらく歩くとまた扉がありました。

 ノブに手をかけますがやはり鍵がかかっています。

「開かないね……」

『大丈夫だ。開けられるよ』

 私がノブから手を離すとカチャリという音がしてドアの鍵が開いたことがわかりました。

「ツカサがやったのか?」

『ええ、僕も多少はできるようになったでしょ?』

 ノブを捻ると今度はすんなり開きました。

「電子ロック付きのドアノブを外部から解除するなんて凄いじゃないか!」

『それほどでもないさ……』

 ツカサは自分の培ったハッキング能力について少し照れくさそうにしていました。

 中に入るとそこは広い部屋になっていました。

 そこには様々な機械や電子機器が設置されています。

「なぁ、これは一体なんなんだ?」

『多分……対能力者用に作られた装置だと思うけど……どうやらまだ起動していないみたいだね』

「ふーん……とりあえずこの装置は破壊しておくね」

 私はそう言うと右手に意識を集中させました。

 すると私の手の中に黒いエネルギーが集まり始めました。

 そしてそのエネルギー弾を思い切り装置に向かって放ちました。

 パァン! という音を立てて装置は爆発し粉々になりました。

「これでよしっと……それでこれからどうすればいいんだっけ?」

『ああ、確か上への階段があったはずだよ。そこに向かおう』

「わかった」

 私は警報のなるビルの中を闇に紛れながら進む。

 階段を見つけると慎重にそれを登り始める。

 敵が大量に降りてくるが、私は闇に溶け込む事で発見されることはない。

 でも、ちょっとだけ遊んであげましょう。

 するっと壁の中から私が飛び出すと、階段の途中で見回りをしている男に出くわす。

 男は私を見ると銃口をこちらに向けてきた。

「おい!そこで何をしている!?」

 男の怒声を聞き私は咄嵯に身を屈めた。

 ダダダンッ!! 銃弾が飛び交う。

 しかし、それは全て外れる。

「当たらない!?」

 男が発砲をやめた瞬間、私は彼の背後に立ち、首筋にナイフを突き立てた。

「ぐあっ!!」

 彼は叫び声をあげるとその場に倒れ込んだ。

「ふふっ...。やっぱり人殺しって最高♡」

 私はそう呟きその場を後にした。

 その後も順調に上の階へと進んでいく。

『気をつけてくれ。敵が潜んでいるかもしれない』

「わかっているよ。ツカサ」

『そろそろ最上階のようだ。準備は良いかい?』

「うん。いつでもOKだよ」

 ツカサの指示に従って行動していると遂に最上階に辿り着いたのだった。
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