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困り顔

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 ノエルが微妙な顔をしているのに気がついた私は声かける。

「ノエル?どうしたの?」

 私がそう聞くと、ノエルは困り顔のまま答えます。

「いや...何と言うか...」

 そして少し躊躇ってからこう続けました。

「まだ『カオスチャイルド』の幹部クラスがそこのアジトに本当にいるのか分からないのに浮かれすぎじゃない? 2人とも」

 私は思わず吹き出してしまいました。

「あはっ!確かに!」

 そう言って笑う私を見て、2人も笑い出す。

「あははははは!!たしかにね!!」

 相手が強い超能力者集団だときいて久しぶりに手加減なしで暴れられると思ってテンションが上がりまくっていたのです。

 私は浮かれすぎていました。

 でも仕方ないと思いませんか? だって強い能力者と戦うなんてワクワクしちゃうじゃないですか。

 私はその気持ちを抑えて言います。

「まぁ、いいじゃん!もし居なかったらいなかったでまた探せば良いんだしさ!」

 するとノエルは私の方を向きます。

「それはそうだけれど...私たちの目的はあくまで敵の殲滅だよ。それに相手の戦力も未知数なんだからあまり油断しない方がいいと思う」

 私は少しムッとして「1番能力が強いノエルが言う?」と返しました。

 ノエルは苦笑してこう返します。

「そうかもしれないけどさ、私達は今までずっと命の危険に晒されながら戦ってきたんだよ。そりゃ相手が強かったらその分創意工夫して自分の力になるけどさ...」

 私は彼女の言葉を聞いてハッとなりました。

 確かに私たちは何度も死線をくぐり抜けてきた強者です。

 だからといって気を抜いても良い理由にはなりませんよね...。

「ごめんごめん、ちょっとハイになってたかも。あの廃墟で戦った奴らの能力レベルが高かったからね。もしかしたら私たちとやりあえる奴が居るかもしれないと思ってやる気が出ちゃったんだ」

 私は素直に謝りました。

 するとノエルは微笑んで許してくれます。

「うん、わかってくれればいいよ。私達もちょっと浮かれてたからお互い様だね」

 そして彼女は続けて言います。

「でもさ、やっぱり少しだけ心配なんだ。ー相手はこの町の中でも強力な超能力者の集団であるビックスター学園の学生を拉致でる力を持っているかた、私達の知らない未知の強力な能力をたくさん持っているかもしれない」

 私はその言葉を聞き少し考えてから言います。

「...じゃあさ、もしも相手が強力な超能力を持っていた場合を想定して作戦を考えようよ」

 私がそう提案すると2人は賛成してくれたので早速作戦を考えてみるのでした。
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