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 「ん?どうかしたかね?」

「先に言っておくけど、私たちはビッグスター学園に入る気はないよ」

「......」

 一瞬の間があった。

 それから校長の顔つきが変わる。

「ふむ、それはなぜだね?」

「まず第一に私たちの目的は組織壊滅だからここに通っている時間がないということ。次にこの学校はお金がかかるから」

「なるほどな...しかし金なら問題ないんじゃないか? 君たちはビッグスター社の関係者なのだろう?」

「それでもだよ。私たちには他に目的があるし」

「ほう、それは一体どんなものなのかな?」

「平和に余生を過ごす」

「...」

 また沈黙が流れる。

 それからしばらくして校長はため息を吐いた。

「...せっかく強大な能力を与えられたというのに、君たちは使うつもりもひけらかすつもりもないと、そう言いたい訳だね?」
「そういうこと」

「ふぅ~...全く最近の若者はなんにも分かっていないようだねぇ」

「そんなこと言われてもなぁ...」

 レイカは困った顔をしている。

「いいかい?今この世界はとても危険な状態になっているんだよ。いつどこで何が起きるか分からない。もし何か起きた時に君たちのような若い力が必要になってくるかもしれないんだ」

「確かに私達みたいな超能力者が必要とされる時が来るかもしれないけど、私たちが戦う理由はそれだけじゃないから」

「...理由とはなんだね?」

「大切な仲間を守る為」

「...なるほど、分かったよ。何を言っても無駄そうだ。まさか君たち3人がわざわざこの学園を選んで来てくれたのだと期待していたのが間違いだったみたいだね」

「別に間違ってはいないと思うけど。だって超能力者になる人の多くはビッグスター学園に入学するんでしょ?」

「まぁな。だが超能力者は誰でもなれる訳ではない。それに超能力者になったからといって必ず戦いに身を投じなければいけない訳でもない。中にはそういったことを望まない者もいるだろう」

「...まぁそれもそっか。じゃあそろそろ本題に入らせてもらうね」

「ああ、構わないよ」

「私たちは秘密結社『カオスチャイルド』について調べているんだけど、何か知っていたら教えてもらえないかな?」

「...」

「もちろんタダでなんて言わない。情報次第では私たちの能力を使って協力するから」

「...」

「ダメかな?」

「...いや、こちらとしても断る理由はない。それに『カオスチャイルド』か。我が校の生徒も幾人か拉致されたという報告を聞いている」

「え!?そうなの!?」

 思わず声が出てしまているレイカ。

「ああ、残念ながらな...。生徒の何人かは行方不明のまま見つかっていない。恐らく奴らに連れ去られたのだろう」

「...」

「それで、君たちの方は何か知っていることはあるのか?」

 そこで私が声をだすのでした。
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