TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが！！

別れ...②【改☆】

「今日この時刻を持って私達は解散します！」

　俺の発言に会場中がどよめく。

「アリカ...ちゃん？」

「解散...？」

　俺の絵柄の入っているうちわを持っていた人がそれを地面に落としていく。

　光る棒を持っている人もまるで抜け殻のようになっていくのが分かるのが本当に辛い...。

　だけど絶対に言わなければならない事だから真剣にファン達と向き合う。

　俺は皆の方に向かって言葉を並べた。

「今まで付き合ってくれて本当にありがとう、でも俺はこの国の【王】なんだって事を思い出したんだ、だから...今日このイベントが皆と一緒に舞える最後の舞台...」

　俺は両目に涙を浮かべながらもぐっと堪えこみ笑顔を振り絞る！。

「だから...、最後まで応援してくれてありがとう！！　俺！　皆と一緒に踊れて最高に楽しかったよ！！」

　両手を振りながら今までついて来てくれたファン達に最後のファンサービスを行う！。

　その結果...。

　パチパチ...。

　と静かな拍手がイベント会場に鳴り響く...。

　小さな拍手はだんだんと大きくなって会場中を熱気に包み込む...。

「こちらこそありがとう！！」

「またいつでも戻って来てくれ！！」

「アリカちゃ～ん！！　また会える日を楽しみにしてるよ～！！」

　など暖かい声を向けられて感無量な俺は！！。

「うわ～ん！！！」

　そのまま泣いてしまった！！。

　あまりにもファン達の言葉が嬉しくてついつい涙を流してしまう...。

「こんなの...いけないのに...、皆の前で泣いちゃ...」

　涙を一生懸命に拭くのだが、次から次へと流れ出してくるため何も見えなくなってしまう。

　俺の顔が涙でぐしゃぐしゃになってもそれを祝福してくれる皆の声を聞いてさらに泣きじゃくってしまう。

(皆...本当にごめん...、でも俺には【王】としての責務があるから...、こうしてずっと旅を続ける訳にはいかないんだ...)

【王としての責務】

　それに比べればこんなアイドル業などちっぽけな物だと笑う者もいるだろう...。

　けれど、俺はこのアイドル業にも価値を見出している。

　俺達の踊りや歌を聴くためにこれだけの人達が集まってくれているからだ。

　これは俺の【王】としての器量が大きいから集まってくれている訳ではなく、アイドル業で培った【人気】で成り立っているのである。

　確かな成功体験を噛み締めつつ、俺たちのラストステージは終わりを告げるのでした。