TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが！！

メイドナイト【改☆】

　チュリアが戦場に立つと巨大トカゲの視線がこちらに集まった。

「アリカ様、あれですか？」

「そうだ、あのトカゲを3枚おろしにしてやれ！」

　俺は小物のような言葉選びをしながら彼女に奴を倒せと命じる。

「...、後でこんな旅を続けていた反省文を20枚ほど書いていただきますからね」

「ひえっ！！」

　そう！！　実はこのアイドルイベントの旅は彼女に猛反対されていたのであった！。

(危ないですからこんな旅は控えてください！)

　という彼女の言葉を押し切り、俺は【王】としての仕事をしたくない一心でアイドル活動に勤しんでいたのだ。

　だってこっちの方が個人で使えるお金大きいし、税金とかのやりくりって結構面倒くさいんだよな...。

【王】の責務として真っ当しなくてはならない事は分かっているのだが、やはりたまにはこう言う旅をしてみたくなる気持ちもわかってほしい。

　チュリアは「はぁっ」とため息を吐きながら巨大トカゲに向かっていく。

　奴はそんな彼女に気がつくと、一直線に向かってくるのだが、それをチュリアは簡単に弾き返した。

　しかし、それは手に持った刀ではなく、空中に現れた羽のついた盾のような物体で防いでいたのだ。

「【聖盾ホーリー・シールド】」

　彼女の言葉と同時に展開された魔力盾は奴の攻撃をいとも容易く弾いてみせる！。

　やはり防御面に置いて彼女の右に出るものはいないだろう。

　なんと、彼女はこの盾だけではなく【聖衣セイント・ベール】と呼ばれる極薄の魔力を法衣も身に纏う事ができるのだ。

　彼女の防御力を前に攻め手をかいたトカゲはみるみるうちに削られていき、見事三枚おろしにされていた。

　戦闘が終わり刀に付着した血を払い除け、俺の方に向かってくる彼女はこう呟く。

「さあ、帰りますよ、今回の件で流石に懲りたでしょう？」

　そう言われたのだが、俺はこう返した。

「...後一回だけ待ってくれないか？　せっかくチケットを買ったお客さんをがっかりさせちゃいけないから、次の一回を最後として俺はアイドルをやめるよ」

　その言葉を聞いた彼女は「後一回だけですからね」と渋々ながらも了承してくれた事に感謝しよう。

　アリカ=ふぉ～しゅん☆ の最後の舞台になるからには、これまで以上に派手な舞台を用意しようと考えている。

　俺はラストステージに向けて最高の舞台の情景を思い浮かべているのでした。