TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが！！

姉としての愛【改☆】

　晩御飯を食べた妹は直ぐに寝てしまった。

　それはもう事切れるかの如く綺麗に倒れたのだ。

　布団に入りすやすやと寝息を立てて眠る妹の姿に親心のような物を覚えずにはいられない。

「リウよ、他人の気持ちが分かる優しい魔族になれ、もしも俺がいなくなったらこの国を背負うのはお前なんだからな...」

　勿論俺はこの国からいなくなるつもりはないのだが、もしもという事はある。

　そんな時に皆を先導する者がいるのだ。

　俺はそれを妹に任せようとしている。

　妹の優しさを知っているからこそ、彼女のだったらその役を任せられるのだ。

　そっと彼女の頭を撫でてやると小さな声で「ね～ね...」と呟いたのが分かり嬉しくなった。

「健やかに成長するんだぞ...」

　俺はそう呟くと彼女の頬っぺたにキスをした。

　そしてそのまま部屋を出て田んぼを見に行く。

　自分で田植えをしていると、なんとなく気になってしまうからだ。

　夜の田んぼでは静寂の中でも虫達が鳴いてくれるので寂しくはない。

　程よい月明かりに田んぼが照らされているから、むしろ神秘的でさえある。

　暗闇の中でさえ凛と立つ小さな緑の宝石達にウットリとしていると、不意に声をかけられた。

「何してんだ？　アリカ」

「わっ！　...ってケロナか驚かせんな！！」

　俺はケロナの方を向いて拳を振り上げるが簡単に弾かれてしまう。

　もとよりこうなるのが分かっているからこそできる行為なんだけどね。

　挨拶がわりのパンチを弾かれると、彼女は静かに田んぼを見つめ始めた。

　一応今のうちに気になったことを聞いておこう。

「ところで昼間は田植えに来なかったけど、ケロナは何してたんだ？」

「まあ、色々あってな...、それに私は田植えよりも晩の作業の方が合ってるし」

　晩の作業とはどういうことだろうか？。

　しばらく彼女の行動に目を光らせていると...！。

　あの時に見た大量の蛙が現れて害虫駆除を行い始めた！

　先ほどまでの虫達の鳴き声はどこにもなく「ゲロゲロ」という声のみで埋め尽くされてしまったからにはたまらない！！。

「俺もう寝るわ...」

「ああ、そうするといい」

　冷ややかな対応をし続けるケロナに対し、俺は少し気分を悪くするのでした。