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蛙の試練⑨

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「凄い...!」

 ティアは蒼く輝く刀の刀身を見てそう呟いていました。

「こんな凄い刀身の刀は見たことがありません!、これは世界に2つとない名刀かもしれませんよ!」

 目を輝かせながら刀身を見つめる彼女だったが、私には刀や剣の知識が殆どないのでなにが凄いのかよく分からない。

 分かることと言えば、ただ単にこの刀が物凄く綺麗だと言うことくらいか...。

 水晶のように透き通った蒼い刀身は、見る物全てを惹きつける。

 かく言う私も刀身を静かに見据えていた。

 素人目線で見ても、凄い刀だと言う事は分かる。

 そうしていると、不意に頭の中に声が響いてきた。

(お前さんか?、わしの後を継ぐ蛙人は...)

「誰だ!?」

 私は左右を見回したが、ティア以外に誰もいない。

「ケロナ様?」

 彼女は挙動不審な行動を取る私を見てキョトンとしていたが、私の言葉を聞くとすぐさま戦闘態勢に入る。

「攻撃されてる...、頭の中に声が響いてくるんだ...」

「えっ!?」

 彼女は剣を抜きはなち、辺りを見回しますが、勿論誰もいません。

「周囲には誰もいません!」

「本当に誰もいないか...?」

 頭を抑えながら彼女に聞いてみるが、帰ってきた答えは「はい」でした。

 最初2人が同時に幻覚魔法でもかけられているのかと思いましたが、頭の中に響いてくる声の主の名前を聞くと少しだけ落ち着きました。

(まあ、落ち着いて聞け蛙の娘よ...、わしの名前はケロ二郎...、この社を最初に立ち上げた者じゃ...)

「ケロ二郎...?、貴方が?」

(ああ...、願わくば我が愛刀ケロリン=ソードを再び振るうべき時が来ない事を祈っておったが仕方あるまい...)

「んっ?ケロリン=ソードってまさか...!」

 私は手元にある素晴らしい刀を見つめた。

(そうじゃぞ、そなたが今持っている刀こそがケロリン=ソード...、別名を【勝利と栄光の剣】じゃ...)

(別名の方が普通の名前だ!!)

 深くツッコミたい私でしたが、今にも消えそうな声で呟かれるのでツッコメないでいると...。

(わしの意識は時期に消える...、そなたの名前は...?)

「ケロナ...、ケロナ=あまみん☆だ...」

(あまみん☆...か、いい名前だ...カミさんを思い出すわい...)

 なんか思い出に浸り出す彼の言葉を聞いていると、不意にこんな事を言われてしまった!。

(よしっ!、決めたぞ!、今からケロリン=ソードは【あまみん☆=バスター】に命名変更じゃ!)

「はっ!?ちょっと待って!」

(その刀は本日をもって【あまみん☆=バスター】じゃ...、この奥の隠し部屋にわしの宝がある...、それも何かの役にたててくれ...)

 徐々に消えていく彼の声に、私はひどく絶句した。

「せめて勝利となんちゃらの剣って命名に戻しなさい!!、【あまみん☆=バスター】だなんて自己主張激しすぎ!!」

 大声で叫ぶ私でしたが、時すでに遅く、ケロ二郎の声は返って来ないのでした...。
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