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ギサラの体調
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~ギサラの部屋~
二回程扉をノックして入る。
「入るわよ...」
部屋に入室した途端、ギサラの瞳がこちらを見やり殺意の高さに身震いしたのだが、彼は私に気がつくと殺気を消してくれた。
「ハロ...か」
ちらりと食事の後を見てみるがパンが一枚も減っていない。
「ちょっとは食べてよ、あんまり美味しくないとは言え私たちは人間なんだから食べないといくらギサラでも死ぬよ」
彼は私の言葉に反応するが、あまり声質が良くない様に見える。
「わりぃな...、水しか飲めねぇんだ...」
そう言いながら彼はコップに注がれている水をゆっくりちびちびと飲む。
私は彼の体を見やる。
(酷く消耗してる...、体は痩せ細ってるし筋肉も大分落ちてる...、けどそれに比例して戦闘力のみがどんどん上がっている...)
私はゼロスの情報を出す前に彼に相談してみる事にした。
「なぁ...、ギサラ、今からでも遅くないからやめにしないか?、死人を生き返らせるなんて本気でできると今でも思っているのか?」
その言葉に彼は頷く。
「ああ...、できると思ってるさ...、その為に仲間を集め力を求めて来た数年間だったんだ...、沢山の仲間とモンスターを犠牲にしちまった俺には、今更後に引くことなんてできやしない」
そう答える彼の表情は何処と無く暗い。
「ネアって子がどのくらいギサラにとって大切な子なのか知らないけど...、自分がそんなになってまで生き返らせたい子なの?」
「ああ...、俺の命なんて惜しくはねぇ...、ネアを完全な状態で生き返らせる事が出来るなら、俺はこの身を悪魔にでも捧げよう...」
...私は静かに瞳を閉じる。
(何度聞いても答えは変わらない...か)
そう悟ったのは何年前になるかな...。
それでもやっぱり聞いてしまう。
引き返す気は無いのか?。
と。
人間なんてものはいつでもやり直せるのだ。
どんな大罪を犯してもちゃんとそれを真剣に悔やみ、前に進める者にだけ転機は訪れる。
この私がそうだったかの様に...。
だからこそ、私はギサラの意思に従う。
それがどれだけ人の道から外れた行為だったとしても、私は彼を肯定し続けると決めたのだ。
私は懐から注射器を取り出して彼に呟いた。
「今日の分だよ」
「ああ...わりぃな...、後で使わせてもらう...」
力なくそう答える彼にゼロスの映像を見せるのは危険だろう。
やる気になって今すぐに飛んで行かれてはこちらが敵わない。
「じゃあ後でまたくるからね...」
「ああ...、俺は少し眠る...、また後でな...」
私は悲壮感あふれる表情のまま、彼の部屋を音にするのだった。
二回程扉をノックして入る。
「入るわよ...」
部屋に入室した途端、ギサラの瞳がこちらを見やり殺意の高さに身震いしたのだが、彼は私に気がつくと殺気を消してくれた。
「ハロ...か」
ちらりと食事の後を見てみるがパンが一枚も減っていない。
「ちょっとは食べてよ、あんまり美味しくないとは言え私たちは人間なんだから食べないといくらギサラでも死ぬよ」
彼は私の言葉に反応するが、あまり声質が良くない様に見える。
「わりぃな...、水しか飲めねぇんだ...」
そう言いながら彼はコップに注がれている水をゆっくりちびちびと飲む。
私は彼の体を見やる。
(酷く消耗してる...、体は痩せ細ってるし筋肉も大分落ちてる...、けどそれに比例して戦闘力のみがどんどん上がっている...)
私はゼロスの情報を出す前に彼に相談してみる事にした。
「なぁ...、ギサラ、今からでも遅くないからやめにしないか?、死人を生き返らせるなんて本気でできると今でも思っているのか?」
その言葉に彼は頷く。
「ああ...、できると思ってるさ...、その為に仲間を集め力を求めて来た数年間だったんだ...、沢山の仲間とモンスターを犠牲にしちまった俺には、今更後に引くことなんてできやしない」
そう答える彼の表情は何処と無く暗い。
「ネアって子がどのくらいギサラにとって大切な子なのか知らないけど...、自分がそんなになってまで生き返らせたい子なの?」
「ああ...、俺の命なんて惜しくはねぇ...、ネアを完全な状態で生き返らせる事が出来るなら、俺はこの身を悪魔にでも捧げよう...」
...私は静かに瞳を閉じる。
(何度聞いても答えは変わらない...か)
そう悟ったのは何年前になるかな...。
それでもやっぱり聞いてしまう。
引き返す気は無いのか?。
と。
人間なんてものはいつでもやり直せるのだ。
どんな大罪を犯してもちゃんとそれを真剣に悔やみ、前に進める者にだけ転機は訪れる。
この私がそうだったかの様に...。
だからこそ、私はギサラの意思に従う。
それがどれだけ人の道から外れた行為だったとしても、私は彼を肯定し続けると決めたのだ。
私は懐から注射器を取り出して彼に呟いた。
「今日の分だよ」
「ああ...わりぃな...、後で使わせてもらう...」
力なくそう答える彼にゼロスの映像を見せるのは危険だろう。
やる気になって今すぐに飛んで行かれてはこちらが敵わない。
「じゃあ後でまたくるからね...」
「ああ...、俺は少し眠る...、また後でな...」
私は悲壮感あふれる表情のまま、彼の部屋を音にするのだった。
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