TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが！！

なんか...いいなぁ...

　笑う僕を見て2人ともおかしくなったのか笑い声を上げ始める。

「なんで笑ってるの？、ふふっ」

「お主もじゃ...、ふっ」

　僕たちはただ笑い合う...。

　肌寒い夜の空気を意にも介さず...。

　ただ笑いあった...。

　その時間がとても幸福な物だと気付いていてもなお、僕の心は...。

　いや...、今だけは安らぎに微睡んでもいてもいいのだろう...。

　もしかしたら僕の求めていた物はここにあったのかもしれないなと感じていると...。

「じゃあ帰りましょうか、そろそろ肌寒くなってきましたし、外にいると風邪ひきますよ」

「そうじゃのう...、まあ帰ってもいいか」

　よろよろと動き出す2人。

「いきますよ、ツグミ君」

「えっ...？」

　そうやって差し伸べられた手がとても眩しく見えてならない。

　ま・る・で・あ・の・人・と・遜・色・が・無・い・その手の温もりに僕は抗えない...。

「チュリア...」

「何ですか？」

「...、ううんなんでもない」

「？、まあいいですけど...」

　僕は少し戸惑いを見せながらもその手に触れてみる...。

(暖かい...)

　他人の手がこれほどまでに暖かいと感じる瞬間を僕は知っている。

　他人が自分の事を大切に思っているからこそ、暖かく感じるのだと知ってしまっている僕だからこそ感じてしまう...。

(ああ...、チュリアは本当に僕の事を...)

『他人が自分の事を大切に思ってくれている』

　そう感じるのは難しい。

　なぜなら、悪意ある者の言葉を見抜くのは意外と難しいからだ。

　自分で考えて答えを出さなくてはならないこの行為には、ハッキリ言って正解はない。

　だからこそ自分で選択し、選ばなければならないのだ。

　自分を本当の意味で成長させてくれる存在を...。

「どうしたの？ツグミ君？」

　少し不安そうな表情で僕の事を見てくる彼女に対し、僕はもう一度だけこう返す。

「ううん...、何でもない」

　そう答えると、彼女は微かに笑みを浮かべてしっかり手を繋いでくれる...。

　その手が柔らかくて...、暖かくて...、優しいと感じてしまう...。

「お・姉・ち・ゃ・ん・...」

　思わず静かに言葉を漏らした事に気がつき、少し恥ずかしくなったけど...。

(なんか...いいなぁ...)

　そう思える日々がこれからも続いていくのだと思えると少し嬉しくなるのでした...。