上 下
450 / 968

砂漠の国アイシア

しおりを挟む
 今のわしの名前はシスティ=クラウニー。

 それに間違いはない。

 けどこれだけは言える。

 その名前は昔持っていた名前ではないだろうと言うこと...。

 それを今から話していこうと思う...。

 あれは今から何年前になるのか...、いや数十年前とも数百年前とも取れてしまう。

 2度と過ぎ去った時を戻すことが出来ないように、わしの真名も取り戻す事など出来はしないだろう。

(真名を忘れたので、これからもわしの名前は一貫システィでいかせてもらうぞ?)

 ~砂漠の国~

 わしはあの時確かにそこにいたのを覚えている。

 ここから遥か遠くにあった、今は亡き砂漠の王国アイシア。

 そこはただ暑いだけの空間...。

 昼は日差しが強く、夜は極寒の寒さが命を蝕む死の領域。

 そんな中でわしは育った。

 毎日が忙しく、生命の源である『水』を求めて旅する毎日。

 過酷な状況では裏切り騙しは当たり前、騙される方が悪いとさえ言われていた。

 じゃが...、わしはいつも願っていた。

 大量の『水』さえあればくだらない争いは無くなり、国は1つにまとまるだろうと...。

 1人の『人間』として並み居る魔族を打ち倒し、徐々に勢力を拡大して行った。

 そんなある日、わしの耳にとある情報が舞い込んできた。

「皆が浴びるほどの水を簡単に手に入れることができるアイテムがあるらしい」

 と。

 最初こそ怪しんだわしじゃったが、その情報を提供してくれた赤毛の男は相当な情報屋で皆信頼しておったからな、誰も疑う事なく出陣した。

 わしらの盗賊団はアイシア中でもトップクラスに強く、砂漠の国の領域を取り纏めることが出来るのはわしらだけじゃと言われておった。

 わしらの最善期だったからこそ、そこに付け込まれたのだと今では思う...。

 強力な魔物のいるダンジョンを進み、ついにその最奥地にまで進出したまでは良かったのじゃが...。

 そこで赤毛の情報屋が正体を現した。

 赤毛の情報屋の正体...、それがカズラじゃった。

 奴はわしらの力量を測る為にわざと嘘の情報を流したのだと、この時になって気がついたがもう遅かった。

 戦力の全てを知られていたわしらに魔王の強大な魔力から逃れる術はなかった。

 1人...また1人とわしらは食い殺されていった...。

 じゃが...、奴はわしが最後の1人になった時なんて言ったと思う?。

 その言葉がこれじゃ。

「お前は美しいな...、気高く強く、知性も高い...、俺の嫁にならないか?」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...