TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが！！

毒の混入

　ケロナの言動により食事を作っていた者達全てが呼び集められた。

　最初こそ皆驚いたような表情を浮かべていたが、彼女が真剣な表情でこう言った瞬間に空気が変わる。

「あなた達の中に私達を毒殺しようとした者がいる」

　そう呟いた瞬間に食堂内が騒ざわめくが...。

「そんな訳がない、現に今貴女は私共の料理を食べたのではないか？」

　と料理長みずからケロナが食べたかじりかけのパンを指差している。

「確かに私は料理を食べた、食べたからこそ分かる、一見無味無臭だけど口に含んだ瞬間に少しだけピリッとしたから...」

「ご自分でかけられた香辛料か何かと勘違いされたのでは？」

　料理長がそう呟くと料理人全員が笑い声を上げる。

「そうだそうだ！！、俺たちが客人に毒入りの飯を食わせる訳がないだろう！」

「誇り高きサイラ王国の料理人がそんな事する訳がない！」

　やけに強気な者が多いので、完全にアウェイになってしまっている。

(そうだよな？、ケロナの奴が単純に勘違いしただけだとな？)

　そう思えればどれだけ楽だっただろうか。

　次の一言で再び空気が変わる。

「じゃあ貴・方・が・こ・の・料・理・を・食・べ・て・み・て・よ・、毒が入っていないと言い張れるのなら食べられるでしょ？」

　ずいっとかじりかけのパンを料理長に手渡す。

「言っておくけど、このパンの中には私が探知した限り即効性の猛毒が仕込まれてるから、多分死ぬよ」

　しかし、料理長はそれを鼻で笑う。

「いいだろう、食べて証明してみせよう、我らサイラ王国の料理人の誇りを持ってな！」

　そう言いながら彼がパンに口をつけようとした次の瞬間！！。

「ダメだ！！」

「はっ？」

　いきなり若い料理人が料理長を突き飛ばしたのだ！！。

「何をする！！」

　料理長が叫ぶ中、若い料理人は自白した。

「僕が...やりました...」

　その言葉に食堂内が緊迫感で圧迫されていく...。

「僕が食事に毒を入れて魔物を殺害しようとしました」

「何を言っているんだお前は！！」

　かんかんに怒った料理長を尻目に、こちらを見やる若い料理人。

「お前たちなんだろう？、騎士団先遣隊と本体、そして勇者様方を殺害したのは！！」

　若い料理人の言い放った言葉にどよめく食堂内なのだった。