TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが！！

ディンVSケロナ

　...相対しているだけで分かる。

　目の前の存在が強者である事が...。

　程よい緊張感に喉が渇き汗が垂れ落ちる。

　しかしそんな状況だというはずなのに少し嬉しいと感じている自分がいたのだ。

　敵とは言え、妹に似た顔を見て安心したのだと思う。

　僕は少女に感謝をこめつつも、その相手を斬らなければいけない宿命に葛藤した結果勇者である事を選ぶのだった。

「行くぞ！ケロナ！」

　僕は少女の名前を叫びながら紅蘭剣ライアーガを振り回しケロナに立ち向かう！。

「！！」

　彼女はそれを見事な身のこなしで躱してから反撃に転じてきたのだ！。

　シュ！。

「！！」

(舌が伸びるのか！)

　いきなり彼女の舌が凄い勢いで向かってきた事に驚いた僕はすぐさまそれを腕で弾いたのだが、防いだはずの腕が妙に震えている...。

(...防御に使った左腕がピリピリする...、毒か？)

　一応念を押す様に解毒の魔法を腕にかけておく。

　解毒の魔法を使っても毒気はしばらく消えないが何もしないよりかはマシである。

(流石にスキルも無しに打ち合える相手じゃないな...)

　僕は左手を隠しながら勢いよく右手に持っていた剣を振り払った。

「唸れライアーガ！！」

　僕がそう叫ぶと灼熱の火炎が少女を襲う！。

　これだけで終わるのならよし...、終わらなければ...。

　僕は息を飲み込みながら炎の渦が消え去って行くのを見守ろうとしたのだが、淡い期待は早々に消え去る事になるのだった。

「ッ！！」

　僕の出した灼熱の炎は突如現れた嵐の様な濁流の水により掻き消されてしまったのだ。

「その程度？」

　濁流の中を涼しい顔をしながらこちらを見てくる彼女からは充分過ぎるほど強敵感を感じずにはいられない。

　しかし、それと同時に勝利を確信した。

(残念だけど僕の勝ちだ...、水属性の相手は僕の勝てない！)

　僕は勢いよく隠していた左手から魔法を放つ！。

「ディン=スパーク！！！」

　蒼き電撃が水を纏う少女に向かって唸る！！。

「なっ！」

　少女は驚いた様な表情を浮かべたまま身動きが取れていない。

　あまりにもいきなりの事だっただけに回避するっという頭がなかったのだろう。

　そのまま水の中にまで電撃が伝わるのでした。