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はっ?
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「はっ?」
俺は煙の晴れた世界で嫌な物を見てしまっていた。
観客席に存在しているケロナが首を握り締められていてガクンと体を揺らしている様を見た時、俺の中にいる悪魔が囁いた。
(あ~あ...、せっかく作ったお気に入りのモンスターが壊れちゃった...、また新しいの作らないとな...)
「...黙れ」
(大丈夫さ!、お前ならすぐに新しいモンスターを作れるだろ!、あんな言うことを聞かない蛙よりももっと綺麗で強くて言うことをちゃんと聞くモンスターを作ればいいじゃん!)
俺と同じ声でそう囁く何かが気持ち悪くて叫ぶ。
「黙れ!!」
誰かは分からない。
ただ自分の中にある声が俺の中を循環し続けていた。
(例えモンスターが死んでも新しく作ればいい)
普通に考えれば至極当然な答えが俺の中を静かに巡る。
『死』
それは誰にでも訪れる極めて自然な現象。
ただ...、今の俺にはそれが理解できていなかった。
ケロナは、ずっとこれからも長い時を過ごすパートナーなのだと勝手に信じ込んでいた自分に対して怒りが募る。
「ね~ね!!」
上で俺を見かけたリウが声を掛けてきたが反応できない。
いや...、今はケロナを殺したであろう金髪の少女に意識が向いて仕方がなかった。
「あいつか...」
ペタペタとゆっくり歩いて奴の隣まで近づいきパチンと足を叩いた。
背が足らないので取り敢えずそこを叩く。
「何?」
俺を静かに見下ろす彼女に聞く。
「ねぇ...、なんでケロナにこんな事をしたの?」
「ちょっと彼女の実力を知りたくてね...、お子様は邪魔だからあっちに行ってなさい」
軽くはたかれただけで俺は数メートル吹っ飛び観客席に叩きつけられた。
「ガハッ...!」
凄まじい衝撃に吐血する俺。
血が地面を真っ赤に塗り替えていく様が良く見える...。
「ねーね!!」
リウの叫び声が傷口に響き全身が痛い...、所どころから血が吹き出して死にかけるが、それでも立ち上がり奴を睨みつける。
「何その目?」
また俺はゆっくりと近づいて奴を軽く叩く。
「返せ...!、ケロナを返せ!!」
俺の拳が弱い事くらい百も承知だったが、それでも譲れない場面がある事くらい自分でも理解している。
「離れなさい!!」
もう一度打たれそうになった瞬間、リウとチュリアが仲介し助けてくれた。
奴の足蹴りを必死に止める二人のお陰で助かってはいるが、今は...。
「悪い...2人とも...、邪魔しないで」
「アリカ?」
「ね~ね?」
俺の言葉に困惑しているような素振りを見せる2人。
当然の反応に俺はこう返した。
「これは俺と奴との一騎打ちだ...、邪魔はさせない」
確固たる意志を持ってそう言う俺に対し、2人の返しはこうだった。
「ダメ!」
「そうです、アリカを1人で戦わせる訳にはいきません!」
「...」
(2人とも優しいな...、俺なんかの為に身を顧みず助けてくれようとしているんだから...)
確かにその事実は嬉しい...、嬉しい筈なのですが...。
(ごめん...、それでも俺は...こいつを自分の力で倒さなくちゃいけない)
「ごめんね...、でも俺はあいつを倒すよ...、それが死んだケロナに対する恩返しだから」
真剣な眼差しで俺が金髪に少女を睨み付けると、彼女はクスクスと笑いながらこう話した。
「ケロナは殺してないよ、ただ気絶させてるだけ」
「えッ!?、そうなの!?」
「ええ、本当よ」
「...」
(うぉぉ!!!、本気で死んでると思ってたからびっくりしたぜ!!)
ケロナが死んでいると思ったからこそ自分の力で勝たなくてはと思っていたのでめっちゃ恥ずい///。
こほんと咳を込んだ後に俺は一歩後ろに下がる勢いよく拳を掲げてこう叫んだ。
「おめぇの出番だぞ、チュリア!!」
「はいはい、結局そうなるよね~」
「リウはいつものね~ねで安心した~」
2人と今の俺の雰囲気を見て安心しきった様な表情を浮かべている。
(やっぱり俺にシリアスは似合わねぇ!!、とことんふざけて最後には勝つのが俺のやり方よ!!)
明らかに嘲笑している金髪少女との戦いが、今から始まるのだった。
俺は煙の晴れた世界で嫌な物を見てしまっていた。
観客席に存在しているケロナが首を握り締められていてガクンと体を揺らしている様を見た時、俺の中にいる悪魔が囁いた。
(あ~あ...、せっかく作ったお気に入りのモンスターが壊れちゃった...、また新しいの作らないとな...)
「...黙れ」
(大丈夫さ!、お前ならすぐに新しいモンスターを作れるだろ!、あんな言うことを聞かない蛙よりももっと綺麗で強くて言うことをちゃんと聞くモンスターを作ればいいじゃん!)
俺と同じ声でそう囁く何かが気持ち悪くて叫ぶ。
「黙れ!!」
誰かは分からない。
ただ自分の中にある声が俺の中を循環し続けていた。
(例えモンスターが死んでも新しく作ればいい)
普通に考えれば至極当然な答えが俺の中を静かに巡る。
『死』
それは誰にでも訪れる極めて自然な現象。
ただ...、今の俺にはそれが理解できていなかった。
ケロナは、ずっとこれからも長い時を過ごすパートナーなのだと勝手に信じ込んでいた自分に対して怒りが募る。
「ね~ね!!」
上で俺を見かけたリウが声を掛けてきたが反応できない。
いや...、今はケロナを殺したであろう金髪の少女に意識が向いて仕方がなかった。
「あいつか...」
ペタペタとゆっくり歩いて奴の隣まで近づいきパチンと足を叩いた。
背が足らないので取り敢えずそこを叩く。
「何?」
俺を静かに見下ろす彼女に聞く。
「ねぇ...、なんでケロナにこんな事をしたの?」
「ちょっと彼女の実力を知りたくてね...、お子様は邪魔だからあっちに行ってなさい」
軽くはたかれただけで俺は数メートル吹っ飛び観客席に叩きつけられた。
「ガハッ...!」
凄まじい衝撃に吐血する俺。
血が地面を真っ赤に塗り替えていく様が良く見える...。
「ねーね!!」
リウの叫び声が傷口に響き全身が痛い...、所どころから血が吹き出して死にかけるが、それでも立ち上がり奴を睨みつける。
「何その目?」
また俺はゆっくりと近づいて奴を軽く叩く。
「返せ...!、ケロナを返せ!!」
俺の拳が弱い事くらい百も承知だったが、それでも譲れない場面がある事くらい自分でも理解している。
「離れなさい!!」
もう一度打たれそうになった瞬間、リウとチュリアが仲介し助けてくれた。
奴の足蹴りを必死に止める二人のお陰で助かってはいるが、今は...。
「悪い...2人とも...、邪魔しないで」
「アリカ?」
「ね~ね?」
俺の言葉に困惑しているような素振りを見せる2人。
当然の反応に俺はこう返した。
「これは俺と奴との一騎打ちだ...、邪魔はさせない」
確固たる意志を持ってそう言う俺に対し、2人の返しはこうだった。
「ダメ!」
「そうです、アリカを1人で戦わせる訳にはいきません!」
「...」
(2人とも優しいな...、俺なんかの為に身を顧みず助けてくれようとしているんだから...)
確かにその事実は嬉しい...、嬉しい筈なのですが...。
(ごめん...、それでも俺は...こいつを自分の力で倒さなくちゃいけない)
「ごめんね...、でも俺はあいつを倒すよ...、それが死んだケロナに対する恩返しだから」
真剣な眼差しで俺が金髪に少女を睨み付けると、彼女はクスクスと笑いながらこう話した。
「ケロナは殺してないよ、ただ気絶させてるだけ」
「えッ!?、そうなの!?」
「ええ、本当よ」
「...」
(うぉぉ!!!、本気で死んでると思ってたからびっくりしたぜ!!)
ケロナが死んでいると思ったからこそ自分の力で勝たなくてはと思っていたのでめっちゃ恥ずい///。
こほんと咳を込んだ後に俺は一歩後ろに下がる勢いよく拳を掲げてこう叫んだ。
「おめぇの出番だぞ、チュリア!!」
「はいはい、結局そうなるよね~」
「リウはいつものね~ねで安心した~」
2人と今の俺の雰囲気を見て安心しきった様な表情を浮かべている。
(やっぱり俺にシリアスは似合わねぇ!!、とことんふざけて最後には勝つのが俺のやり方よ!!)
明らかに嘲笑している金髪少女との戦いが、今から始まるのだった。
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