TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)

文字の大きさ
上 下
246 / 968

はっ?

しおりを挟む
「はっ?」

 俺は煙の晴れた世界で嫌な物を見てしまっていた。

 観客席に存在しているケロナが首を握り締められていてガクンと体を揺らしている様を見た時、俺の中にいる悪魔が囁いた。

(あ~あ...、せっかく作ったお気に入りのモンスターが壊れちゃった...、また新しいの作らないとな...)

「...黙れ」

(大丈夫さ!、お前ならすぐに新しいモンスターを作れるだろ!、あんな言うことを聞かない蛙よりももっと綺麗で強くて言うことをちゃんと聞くモンスターを作ればいいじゃん!)

 俺と同じ声でそう囁く何かが気持ち悪くて叫ぶ。

「黙れ!!」

 誰かは分からない。

 ただ自分の中にある声が俺の中を循環し続けていた。

()

 普通に考えれば至極当然な答えが俺の中を静かに巡る。

『死』

 それは誰にでも訪れる極めて自然な現象。

 ただ...、今の俺にはそれが理解できていなかった。

 ケロナは、ずっとこれからも長い時を過ごすパートナーなのだと勝手に信じ込んでいた自分に対して怒りが募る。

「ね~ね!!」

 上で俺を見かけたリウが声を掛けてきたが反応できない。

 いや...、今はケロナを殺したであろう金髪の少女に意識が向いて仕方がなかった。

「あいつか...」

 ペタペタとゆっくり歩いて奴の隣まで近づいきパチンと足を叩いた。

 背が足らないので取り敢えずそこを叩く。

「何?」

 俺を静かに見下ろす彼女に聞く。

「ねぇ...、なんでケロナにこんな事をしたの?」

「ちょっと彼女の実力を知りたくてね...、お子様は邪魔だからあっちに行ってなさい」

 軽くはたかれただけで俺は数メートル吹っ飛び観客席に叩きつけられた。

「ガハッ...!」

 凄まじい衝撃に吐血する俺。

 血が地面を真っ赤に塗り替えていく様が良く見える...。

「ねーね!!」

 リウの叫び声が傷口に響き全身が痛い...、所どころから血が吹き出して死にかけるが、それでも立ち上がり奴を睨みつける。

「何その目?」

 また俺はゆっくりと近づいて奴を軽く叩く。

「返せ...!、ケロナを返せ!!」

 俺の拳が弱い事くらい百も承知だったが、それでも譲れない場面がある事くらい自分でも理解している。

「離れなさい!!」

 もう一度打たれそうになった瞬間、リウとチュリアが仲介し助けてくれた。

 奴の足蹴りを必死に止める二人のお陰で助かってはいるが、今は...。

「悪い...2人とも...、邪魔しないで」

「アリカ?」

「ね~ね?」

 俺の言葉に困惑しているような素振りを見せる2人。

 当然の反応に俺はこう返した。

「これは俺と奴との一騎打ちだ...、邪魔はさせない」

 確固たる意志を持ってそう言う俺に対し、2人の返しはこうだった。

「ダメ!」

「そうです、アリカを1人で戦わせる訳にはいきません!」

「...」

(2人とも優しいな...、俺なんかの為に身を顧みず助けてくれようとしているんだから...)

 確かにその事実は嬉しい...、嬉しい筈なのですが...。

(ごめん...、それでも俺は...こいつを自分の力で倒さなくちゃいけない)

「ごめんね...、でも俺はあいつを倒すよ...、それが死んだケロナに対する恩返しだから」

 真剣な眼差しで俺が金髪に少女を睨み付けると、彼女はクスクスと笑いながらこう話した。

「ケロナは殺してないよ、ただ気絶させてるだけ」

「えッ!?、そうなの!?」

「ええ、本当よ」

「...」

(うぉぉ!!!、本気で死んでると思ってたからびっくりしたぜ!!)

 ケロナが死んでいると思ったからこそ自分の力で勝たなくてはと思っていたのでめっちゃ恥ずい///。

 こほんと咳を込んだ後に俺は一歩後ろに下がる勢いよく拳を掲げてこう叫んだ。

「おめぇの出番だぞ、チュリア!!」

「はいはい、結局そうなるよね~」

「リウはいつものね~ねで安心した~」

 2人と今の俺の雰囲気を見て安心しきった様な表情を浮かべている。

(やっぱり俺にシリアスは似合わねぇ!!、とことんふざけて最後には勝つのが俺のやり方よ!!)

 明らかに嘲笑している金髪少女との戦いが、今から始まるのだった。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...