上 下
229 / 968

追い詰められた悪人

しおりを挟む
「やれっ!!、我がモンスター達よ!、ケロナを!!」

 堂々と殺す宣言をされると少しワクワクしてきます。

「面白うこと言うわね...、出来るものならやって見なさい...、三流テイマーさん」

「なに?、俺は一流のテイマーだぞ!」

「他人から買ったモンスターを並べただけで一流ね...、そういうのを他力本願って言うんだよ?」

 私は彼を馬鹿にするように教えてあげると、彼は顔を真っ赤にしながら指示を出し始めました。

「あいつを殺せ!!」

 それを聞いた私は思わず心で笑ってしまいます。

(殺せって...、そんな抽象的な指示でモンスター達の本当の力を発揮できる訳ないじゃ無い...)

 呆れたようにため息を吐き、彼を見下したかのような表情を浮かべあげました。

 それを見た彼の逆鱗に触れたのか、マジギレしてしまったようです。

「そんな目で俺を見るな!!」

「いや...、あんたがあまりにもマヌケすぎて...ね」

 煽るだけ煽り彼の逆上を狙う私。

 怒れば怒るほど本来の指示が出せず指揮がめちゃくちゃになってしまう事を私はよく知っています。

 相手の怒りの勢いに対し、冷たく冷静に返されるとホウザという人間は熱くなってくれることをこの短時間で見抜けたのは大きい。

 人間の中にはユカの様に厄介な思考を持つ人間もいる為、ホウザの様な人間は正直相手にしやすいと思うのでした。

 それに...、目的の本質が『金』である人物に遠慮しなくてもいいという感性が働き、私の中にある偽善に触れないのがなおのこと良い。

(こんなクズを殺したって困るのは金持ちくらいだろうし、なんの問題もないな...)

 冷めた表情をしながら彼のモンスター達の攻撃を簡単に躱して行く私を見た彼が突然こんな事を言い始めました。

「何故だ!?、何故ケロナを3匹がかりで倒せないんだ!?、お前達はSR級の魔物なんだろう?、早く奴を殺せ!」

 その言葉を聞いた瞬間、可哀想な人を見るような瞳でホウザを眺めます。

(...、いくら位階が高いモンスターを従えているとしても、それを使役する者の力量で私達モンスターの実力は大幅に変わる...、それすら理解していないこいつがユカと同じテイマーだと言い張るのさえおこがましい...)

 私の表情が一気に変わったことに不満を抱いたのか、先ほどよりも険しい態度でモンスター達に命令していますが、あまりにもずさんな指示を出し続けているのが素人目でもわかってしまいました。

(あ~あ...、モンスター達が可哀想...)

 そう思った私はこの戦いを終わらせてあげることにします。

 流石にテイマーの能力が下の下とは言え、この手のモンスター達をずっと三匹同時に相手にするのは私でも厳しい。

 なので切札を使います。

『蛙王』

 私がそう呟いた瞬間、私を取り囲むように蛙の巨影が姿を表すのでした。





しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...