TS系最弱な美幼女魔王ちゃんとなった俺は、何故か自分が生み出した使い魔達と無敵のダンジョンを作ることになったんだが！！

暖かい晩御飯

「さあ！食べようか！」

　私がそう言ってもぷくっと頰を膨らませて怒る彼女は料理に目もくれません。

「怒らないでよティア、私は貴方に休暇を与えたんだから、喜ぶ事はあっても怒る事はないんじゃないか？」

「そうですけど...、主人を働かせておいて従者である私が休むなんて...」

「まあそう言うなって！、私が命令したんだから今日は休んでよかったんだよ」

「...ですが！」

「ああもう！面倒な話は一旦やめやめ、今は私が作ったこの鍋を食べようよ！」

　そう、私が今日彼女の為に作ったのは色んな物を混ぜ込んで作った鍋である。
　基本的にに森で取れる物を具材に使っているので栄養満点だ。
　鍋の蓋を取った時に溢れ出た香りによって、彼女も私も同時にお腹の虫が鳴る。

「さあ食べよう！、きっとティアも気にいるはずだから」

　さっと彼女のお椀に具材を適当に盛り付ける私。
　キノコや山菜、私が狩ってきた猪の肉。
　私が作ったにしてはいい感じにできたと思うが味のほどは...？。
　一口山菜を食べてみる。

「これは！！」

　あまり私に料理の経験はないのだが、いい感じに出汁が取れてて美味しいと思える。
　雑な旨味と言うやつだ。
　確かに若干の雑味はあるが食べられないと言うほどではない。

「まあまあだな...」

　私がそう呟いて彼女の方を見てみると、驚きのあまり彼女を心配してしまいました。

「ティア！？、なんで泣いているんだ！？」

　彼女は何故か大粒の涙をポロポロと零しながら鍋の具材を頬張ってるのです。

「もしかして不味かったか？、だったら無理して食べなくていいぞ！」

　私が彼女の方がお椀を取り上げようとしたのですが、彼女はそれを拒絶しました。

「いいえ....、不味いだなんて思っていないです...、でも...これを食べていると涙が止まらないんですよ...」

　私には何となく彼女が泣いている理由が分かりました。
　これはあくまで私の解釈ですが、彼女は今までワガママな貴族の元で無茶な仕打ちを受け続けきたのでしょう...、それが急に優しくされたことによる感情の爆発がこの姿なのでしょう。
　お椀を静かに置いた彼女はゆっくりと私の方向に振り向き、感謝の言葉を述べました。

「ケロナ様...、ありがとうございました...」

「ふっ...、なんだ...そんな良い顔もできるんだ...」

　そう呟いた私は静かに微笑みました。
　なぜなら、今まで見たことがないほどの眩しい太陽が目の前に浮かび上がっていたからです。
　それを見て安心した私は彼女のお椀に鍋の具材をどんどん入れてあげました。

「さあ！どんどん食べて沢山寝よう！、それがきっとあなたの幸福になるから...」

「こんな私にそこまで優しい言葉をかけてくださるなんて...、ケロナ様感謝します...」

　まだかたっ苦しさが残っているのだが、今はこれでいいと思える。
　私と彼女はこの後鍋を平らげて一緒に眠るのだった。