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なんで私は...

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「ケロナが勝ったってことは俺の勝ちってことでいいよな?サラ」

「うん!いいよ!、ティアの無様な姿しっかり見れたし私は満足した!」

 その言葉を聞いた私は思わず耳を疑ってしまいました。

「えっ?私の無様な姿を見れたから満足...?、はっ?えっ?」

「ティアごめんね~、実は私とアリカはグルでした~w」

 侵略者アリカと肩を組み、清々しいほど笑顔な彼女を見ていると、私の心にはポッカリと大きな穴が開くのでした。

「えっ...、そんな...、私は貴方様のために負傷してまで戦ったと言うのに...!」

「うんそうだね!!、ティアがケロナのブーツ舐めるとことかめっちゃ無様で可愛かったよ!、今度は泣きながら足の指とか舐めて見てよ!」

 平然とそんなことが言える娘に今まで仕えてきたのかと思うと心が挫けそうになる私。

(ああ...そうだった...、この人はそう言う人だったんだ...、家の為に仕方なくこの人の下についていただけ...、私の忠義を尽くすに足るお方それは...)

 私は背を向けて去って行く新たな君主の元へ駆け出していました。

「ちょ!?ティア!?」

「止めないでくださいサラ様...、私は今まであなた様に忠義を尽くしてきましたがもう限界なんです...、あなた様に忠義を尽くす意味が家系の問題だけだというのであれば、私は貴方に忠を尽くすことはもうありません...」

「はぁ!?意味わかんないんだけど!?」

「意味がわからないのはこっちの方です...、貴方は今部下である私の苦しむ姿を楽しんで見ていたと言いましたよね?、部下の苦しみを楽しむような主人に今まで肩入れしていたとすれば、私は筋金入りの偽善者だったということです...、貴方がその言葉を漏らしたと事で決心がつきました、今までありがとうございました、サラ様...そして...」

 私は去って行く青髪の彼女の前に跪きこう呟きました。

「ケロナ様...、恩情溢れる貴方様こそ私の主人に相応しい人物です...、このティア=ガルド、貴方様に忠誠を...」

「いらん...」

 ケロナ様はそう言って去ろうとしますが、私の心はもう決まっていました。

「掃除洗濯料理、全て私がこなしますよ」

 そう呟くと一瞬だけ瞳孔がピクリと動く彼女。

「...、私がいらない言っているのは腕が傷ついたお前だ、その怪我を治した後であるなら考えてやらないこともない、まずは怪我を治せ」

「それでは...!」

「ああ、我が僕として配下に加えてやろう、ティア=ガルドよ...、だが私はモンスターだ、人間の常識はあまり通用しないと思え...」

「それでも構いません...、貴方には王として君臨する器が備わっていると...、私は考えていますから...」

 私がそう呟いた時に、横からサラ様が口を挟んできました。

「私は~?」

「貴方様はまず浪費癖を直しましょうね、町の者たちからなんて言われている知っていますか?、「町の厄介貴族てんで何にもしないプータロー」です」

「えっ...、そんなひどい!!」

 頰を膨らませながら私の方を見てくる彼女でしたが、ようやくこの人の面倒を見なくて良くなるのだと思うと、少し気分が楽になりました。

「ではサラ様、長い間お世話になりました...」

「えっ...、本当に行っちゃうの?」


「はい...」

 私はそれ以上何も言わずにケロナ様の後について行きました。
 後ろで何やらプータローの声が聞こえてきますが止まる気はありません。

(さようなら...、私の最低の君主様...)
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