最強の弱虫達

影悪・ドレミ

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第5章 最後に涙

敵の助けを求める声

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リウス達が店を出ようとしたその時だ。

カランカラン

店に息を切らしながら入ってきた者がいた。

キエレ「…スイマ?」
トーン「スイマって、無限ループのですか?」

まるでこの世の終わりかというくらい、焦った表情だ。

スイマ「リンカさん~!た、助けて~!今すぐ回復薬をあるだけ買わせて~!」
リンカ「誰が何処で怪我してるの!?」
スイマ「バ、バスクが~!死んじゃうよ~!」
リンカ「ありったけの薬持って行くから、案内しなさい!」

そういい二人は店を飛び出していった。

キエレ「…どうします?」
リウス「勿論、追い掛けるぞ。」






たどりついたのは薄暗い路地裏。
そこで、壁にもたれ座り込むバスクと、半泣き状態のスイマ、焦るリンカがいた。
バスクは全身アザだらけで、出血も凄い。
意識があるのが奇跡というくらいだ。

カミル「……バスク…。」
キエレ「…カミル?」
カミル「スイマ、リンカさん、どいて下さい。トーン!回復魔法を!」
トーン「え!?」
キエレ「カミル、本気で言ってます!?」
リンカ「回復薬は所詮薬。回復魔法が使えるならぜひお願い!」
トーン「…わ、分かりました!」

その後、バスクの怪我はみるみる内に回復していき、完全に復活した。

リンカ「よかった、生きてた…。」
スイマ「バスク~!死ぬかと思ったよ~!」
バスク「…おい、カミル。どうして俺を助けた?」

カミルはバスクの近くへ行き、上から見下ろす。
お互いに睨み合う二人。

カミル「お前ら(バスクとスイマ)がカミレを殺したのを許した訳じゃない。けど、簡単に死なれても困る。……お前らは俺が殺す。それだけだ。」

リウス、キエレ、トーン、リンカにとってはただただ気まずい空気が流れる。

スイマ「…殺したって…なぁに…?」

その言葉にカミルが大きく反応する。

カミル「昨日…!お前らは俺の魔法訓練場に来て、突然カミレを人質にしてっ」
バスク「なんの事だ。」
カミル「なんだと!?」
リンカ「まって、」

リンカの声にカミルが動きを止める。

リンカ「昨日はずっと私の店にいたわ。二人ともよ。薬を買いに来たの。」

矛盾する記憶。
しかし、直ぐに謎は解ける。

キエレ「ブシンの能力だね。」
バスク「あいつっ…」
リウス「誰だ?」
キエレ「無限ループのチート魔法使い。『鏡分身』を使うんだ。相手をコピーするときは視覚に相手が入っている事を条件とする。写真からでも1度会ったことがあるならおk。長年一緒にいた仲の場合は見なくても分身出来る。」
カミル「じゃあ、殺したのはお前じゃなくて分身体…?」
バスク「あいつら…はめやがって…。」
キエレ「バスク、スイマ。なにがあったか話してくれるね?」

キエレの言葉に、話し始めるスイマ。

スイマ「無限ループでは力がすべて。僕らは力で無実の相手を押さえ付けて虐めるのは好きじゃないんだ。だから、ちょっとハブられたりしててね。キエレにはいつも謝りたいと思ってた。ごめん…。それで、僕らは…まぁ、いろいろあってね。よくハブられるんだ。虐めって奴だよ。」

いつも『~』を使って話すスイマが、はっきりと喋る。

キエレ「どうして逃げないの?」
スイマ「無限ループが僕らの居場所だから。」
カミル「ばっかじゃねーの!?」

突然カミルが大きな声をだす。

カミル「そんな死にかけにされて、まだ居場所だ~とか言ってるとか、お前ら正気か!?」
バスク「俺らには無限ループしかないんだよ!」

バスクは何処かへ走り去っていった。

スイマ「あ。そうだ。お代払わないとだねぇ~。いくらですかぁ~?」
リンカ「今回は私の薬は役立たなかったから、お代はいいわ。」
スイマ「分かった~、皆、ありがとうねぇ~。」







ーーーーー
次回・必要ない道具

ツウル「力がすべてなんだよ。」

キエレ「無限ループに仲間なんて言葉は無いんだよ。支配するか下につくか。」
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