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裁判3

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しかし、カタリーヌに頼まれた薬は調合が難しく、ケイトは作った事がない物だった。
その事を話すと

「そんな物調べれば作れるのでしょ?なら本でも読んで早く作りなさい。私の言う事が聞けないって言うのかしら?」

ケイトはカタリーヌに大金を貰っており、逆らえないのだ。
仕方がなく集めた本を読み、薬を作り始めた。
だが、薬は失敗に終わり何回もやり直した。
ある時、カタリーヌが運んできた本の中に1冊だけこの国で書かれたのとは違う本が混ざっていた。
ケイトはその本を手に取り読み始めた。
中にはケイトが知らない薬の材料や作り方が書いてあった。
中にカタリーヌが望んでいた物の作り方が書いてありケイトは直ぐに作り始めた。
そしてようやく出来た薬をカタリーヌは美久に飲ませたのだ。

「この話は侍女のケイトに聞いた話だ。部屋から本も出てきている。今その本の出所を探っています。
ワーズ殿、貴方が娘の言葉を信じ、碌に身辺調査をしなかった貴方の責任でもあるのですよ。分かっていますか?」

「そんな…わ、私は確かに娘に貴方を諦めるように言いました‼︎今回の事だって娘が勝手にやった事で私は関係ありません‼︎そうですよね⁉︎陛下‼︎」

ワーズは今回の事件は娘が勝手に起こした事件で私は知らないと言い張り、陛下に懇願した。
しかし、陛下は自分の客人を傷つけられ、しかも安全だと思っていた城で事件を起こした奴等を許すはずがない。
陛下は徐に立ち上がりワーズの近くに歩いていく。顔には笑顔を貼り付けて。
陛下の笑顔を見てワーズも笑顔になる。
それも陛下の言葉を聞くまでは…

「ワーズ殿の言い分はわかった。皆!聞くが良い!今回の事件の一件でワーズ家取り潰し、及び爵位剥奪とする。この国は奴隷制度が無い。しかし、反省していない奴を死刑にするのも生ぬるいと考えている。よってワーズ及び、カタリーヌは平民に落とす。ケイトは薬を作った本人であるが、脅されていた為、城で身柄を預かる事にする。又、薬の知識がある為、城で研究員の一員になって貰う。以上。」

陛下のお言葉にワーズとカタリーヌは青ざめていた。嫌、白くなっていた。
オルトは陛下に質問をした。

「陛下、一つ質問良いですか?」

「なんだ?」

「はい、首謀者をただ平民に落とすのは刑が軽い様に思うのですが…」

陛下はオルトの質問に待ってましたと言わんばかりに笑顔を見せ説明した。

「あぁ、平民は平民でも只の平民では無い。まず、ワーズにはある手術を受けて貰う。手術とは男性にとって1番大事な物を麻酔無しで切除する。切除した後、国の外れにある村で一生生活して貰う。
気絶する程の痛みが伴うらしいがまぁまぁ。」
笑顔で話した陛下に皆が固まった。
主に男性があそこを抑えて固まっていた。
その様子を気にしない様にしていた。

「次にカタリーヌ嬢にはまず、魔術で作られた腕輪をして貰う。一生外せない腕輪を。その腕輪には3つの術を施す。
1つ目は姿を変える術だ。これはこの国で1番醜い姿になる術だ。自分を美しいと思っている彼女には死にたくなる様な容姿に変わる。その姿では誰も近づかない様な容姿だ。
2つ目は勝手に死ねない術だ。容姿が変わる事によって美しいと思っていた自分が醜くなったら死にたくなる筈だからな。だから自分では死ねない様にした。他の者が殺そうとしても死なない物だ。
3つ目は悪さが出来ない術だ。カタリーヌ嬢にはこの城の侍女になって貰う。」

そこまで言って周りがザワザワし出した。
それもそうだ。
事件を起こした張本人を城で雇うなんて今まで聞いたことが無い。
しかし、皆が考えていた不安は直ぐに吹き飛んだ。

「安心しろ。3つ目の術には悪さをしようとすると身体中に電流が流れる様な仕組みにしてある。もし、誰かを殺そうとすれば身体中に電流が流れ、動けなくなる。
食べ物に毒を仕込ませたら紫の煙が出る仕組みにしてあるから安心だ。
何故私が侍女にしようとしたのか、それは…
自分の好きな人に醜い姿を毎日見せる事になる。
更に、好きな人に婚約者が出来、側で幸せそうなのを嫌でも見る。
そうなったらどうなる?
死にたくなるよな、でも、死ねない。
そしてどんどん心を病んで…と、いう事だ。
どうだ?これ程までに無い刑だろ?」

陛下は最高の笑顔を皆に見せた。
その笑顔を見た皆は絶対に怒らせない様にと心の中で誓った。
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