偽りの恋人達

胸の轟

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アウロラ【1】

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トントントンー

どうしてなのかな?
私の何がいけなかったの?

トントン、トンー

何でカトリーヌなの?

あんなに一生懸命愛情を与えたのに、クラウスはこれっぽっちも理解してなかったことにガッカリする。

時間を無駄に費やしただけだと思うとやるせない。



…私、カトリーヌに負けたってことなんだよね。


カトリーヌなんかに負けたのかと思うと、悔しくて堪らない。悲しくて堪らない。




トン、トン…


零れた涙がまな板に落ちた。


「駄目だな、私って。」

「アウロラ、肉の量はーー泣くなよ。」

「な、泣いてないから!玉ねぎがしみただけ!」

「…アウロラ」

「…私、どこが駄目だったのかな。どこがカトリーヌに劣ってたのかな。」

「ごめん、俺には答えられないや。」

「私こそ変なこと言ってごめん。ーーお肉はそれくらいで良いよ。」

「そっか。」
「次はお肉叩くのお願いね!美味しくなるかはマルコにかかってるんだからね!」

「あー、はいはい。」


お肉を叩くのはすごく重労働だから、これをやるのは男性の仕事だ。なんせかなりの時間を費やして叩かなきゃならない。

丹念に叩くことで、とても滑らかで舌触りが良くなる。



「客室の掃除終わったよ~。マルコ、叩くの頑張ってね!美味しくなるかはマルコにかかってるんだからね!」

「はいはい。分かりました。ビアンカの為、頑張らさせてもらいます。つうかアウロラと同じこと言ってるし。」

「「だって仲良しだもの。ねー。」」

「息ぴったりだなぁ。」


三人で笑いあった。






カランカランー


「準備終わってるかな。終わってないなら手伝うよ。」


気の合う仲間たちが差し入れ片手に集まった。

「いらっしゃい!」




テーブルに並んだ料理を各々が好きに食べる。


ちょっとしたお祝いや記念日、お客様のおもてなし等、家畜を捌いて食べるのが故郷の習慣で、この地に来ても続けている。

ただ、ここには故郷の家畜補充の為に来ているから、集めた家畜をそうそう捌いて食べる訳にいかないのが残念ではあるのよね。

だから今日は久しぶりに家畜を捌いたから、出稼ぎ仲間にもお裾分け。

こうして仲間たちとワイワイ騒ぎながら料理を食べていると、まるで故郷に居るような気がする。

皆もそんな気持ちになってるのかな?すごく楽しそうに見える。
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