偽りの恋人達

胸の轟

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今なら分かる。何故護衛が私の行動を阻止しなかったのか。

私が人も疎らな場所に行くことを望んでたからなのね。

「どういうつもり!?こんなことして只で済むと思わないことね!さっさとここを開けなさい!」

「ーーな」
「何?」

「うるさいって言ったんですよ。」
「何ですって!」

「ギャンギャン吠えないでください。絞め殺したくなるんで。」

「絞めッーー誰にものを言ってるか解ってるんでしょうね。自分の立場も分からない愚か者が!その気になれば、お前ごときどうとでも出来るのよ。」

「へぇー。」

「只の脅しだと思わないことね!私を拐った罰は必ず与えてやるから覚悟しなさい!」


私の護衛に取り立ててやった恩も忘れ、こんな暴挙に出た男に心底腹が立つ。


「立場が分かってないのはどっちですかね。ホント分かってます?」

「良いからさっさと開けなさい!今私を解放するなら、命だけは取らないであげるわ。」

命だけはね。


「やれやれ。ちょっと躾が必要みたいですね。」


カチャカチャー

カチッー


扉を開け中に入ってきた護衛の横をすり抜けー


「おっと、まさか俺を出し抜けるなんて思ってませんよね。俺、護衛ですよ。お嬢様ごときにどうこうされてたら仕事になりませんよ。」

「放しなさい!放しなさいって言ってるのが聞こえないの!このっ、放せ!私の命令が聞こえないの!」


暴れる私を荷物のようにベッドまで運ぶと、覆い被さり片手で私の両手を拘束した。


「今すぐ退きなさい!手を放しなさいよ!」

「そんな生意気な目で見ないでもらえます?じゃないとーー」

「な、何よ!」


私が映る茶色の瞳は、どこか危うげな印象を受ける。ーーこの瞳、見たことがある。奴隷を見る時、こんな瞳をしていた。


「痛いッー」

服の上から乱暴に胸の形を変えられ痛みが走る。


「こうするとデカく育つらしいですよ。発育不足解消の手助けです。」

俺って優しいでしょと笑いながら、痛みを与える男に腹が立つ。


私がいくら痛いと言おうと護衛は手を動かし続け、やがてー

「ヒィッ!イヤッー」

服に忍び込んだ手が、胸の形を乱暴に歪ませる。


肌に直接触れら、ここにきて初めて恐怖心が芽生えた。

犯される!


その恐ろしい瞬間が、刻一刻と身に迫っている。

自分より格下の卑劣極まりない男に、このままでは純潔を散らされてしまう!


そんなことは絶対嫌!


「…ね、ねぇ」
「何ですか?」


話しかけてみれば返事が返ってきた。説得で最悪の事態は避けられるかも!ーーううん、かもじゃ駄目!絶対に説得してみせるわ!
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