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【2】
しおりを挟む今なら分かる。何故護衛が私の行動を阻止しなかったのか。
私が人も疎らな場所に行くことを望んでたからなのね。
「どういうつもり!?こんなことして只で済むと思わないことね!さっさとここを開けなさい!」
「ーーな」
「何?」
「うるさいって言ったんですよ。」
「何ですって!」
「ギャンギャン吠えないでください。絞め殺したくなるんで。」
「絞めッーー誰にものを言ってるか解ってるんでしょうね。自分の立場も分からない愚か者が!その気になれば、お前ごときどうとでも出来るのよ。」
「へぇー。」
「只の脅しだと思わないことね!私を拐った罰は必ず与えてやるから覚悟しなさい!」
私の護衛に取り立ててやった恩も忘れ、こんな暴挙に出た男に心底腹が立つ。
「立場が分かってないのはどっちですかね。ホント分かってます?」
「良いからさっさと開けなさい!今私を解放するなら、命だけは取らないであげるわ。」
命だけはね。
「やれやれ。ちょっと躾が必要みたいですね。」
カチャカチャー
カチッー
扉を開け中に入ってきた護衛の横をすり抜けー
「おっと、まさか俺を出し抜けるなんて思ってませんよね。俺、護衛ですよ。お嬢様ごときにどうこうされてたら仕事になりませんよ。」
「放しなさい!放しなさいって言ってるのが聞こえないの!このっ、放せ!私の命令が聞こえないの!」
暴れる私を荷物のようにベッドまで運ぶと、覆い被さり片手で私の両手を拘束した。
「今すぐ退きなさい!手を放しなさいよ!」
「そんな生意気な目で見ないでもらえます?じゃないとーー」
「な、何よ!」
私が映る茶色の瞳は、どこか危うげな印象を受ける。ーーこの瞳、見たことがある。奴隷を見る時、こんな瞳をしていた。
「痛いッー」
服の上から乱暴に胸の形を変えられ痛みが走る。
「こうするとデカく育つらしいですよ。発育不足解消の手助けです。」
俺って優しいでしょと笑いながら、痛みを与える男に腹が立つ。
私がいくら痛いと言おうと護衛は手を動かし続け、やがてー
「ヒィッ!イヤッー」
服に忍び込んだ手が、胸の形を乱暴に歪ませる。
肌に直接触れら、ここにきて初めて恐怖心が芽生えた。
犯される!
その恐ろしい瞬間が、刻一刻と身に迫っている。
自分より格下の卑劣極まりない男に、このままでは純潔を散らされてしまう!
そんなことは絶対嫌!
「…ね、ねぇ」
「何ですか?」
話しかけてみれば返事が返ってきた。説得で最悪の事態は避けられるかも!ーーううん、かもじゃ駄目!絶対に説得してみせるわ!
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