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9.
しおりを挟むすぐに来ると思った圭はなかなか現れなかった。
♪♪~
鳴り出したケータイにギフトのマークがあり、美優がチェックをすると・・・
「・・・・・・何・・・これ・・・」
そこには仲睦まじげな男女が映っており、カッとなった美優が、問い詰めるため階下へ行き見たものは、何故かリビングで女と話している圭だった。
「・・・・・・どういうこと?」
声にビクリと肩を跳ねさせた圭が振り返る。
その様子は疚しさゆえの態度にしか見えず、ますます美優の疑惑に拍車がかかった。
「えっと──・・・」
居るはずだった両親の不在───見計らったように届くギフト───タイミングよく居る女。
ハッキリと別れたいと言えず、回りくどいやり方をしたようにしか美優には思えなかった。
「・・・・・・・・・最低。」
それは誰に向けた言葉なのか。
舞台を整えた圭に?
それとも
圭にバレないように、嘲るような笑みを見せる女に?
「ちょっ、美優!?」
美優はもう一秒も同じ空間に居たくなくて、家を飛び出した。
我が家にたどり着いた美優は、誰も居ないことに安堵した。今は誰の顔も見たくなかった。
顔を合わせれば、八つ当たりで酷い態度や言葉を投げつけてしまいそうだったから。
圭の両親に会うことの緊張と、圭の部屋へ初めて招待されたことへの嬉しい気分で出かけたのに、今は怒りと惨めさでいっぱいだ。
服を脱ぎ、手にしたブラウスを眺める。それは誕生日に圭が買ってくれた物で、苛立ちからゴミ箱へと投げ捨てていた。
(最低!追いかけても来ないなんて!)
追いかけて来ないということは、やはりそういうことなのか。
自分で自分の考えにショックを受け、美優は下着姿のままノロノロとベッドに腰を下ろした。
(ギフトを見た時は浮気したんだと思ったけど、私の方が浮気だったのかな・・・)
追いかけて来ないことを考えると、その可能性もある。
(ううん、圭はそんな不誠実なことするようなヤツじゃない。でも──・・・本当にそう?)
不誠実なことをするような人間じゃないと否定しながら、では、今日のあれはなんなのかと誠実さに疑念がわく。実際は圭を知ってる気になってただけなのでは?
考えに没頭していた美優は気づかない──密やかに忍び込んで来た獣に。
そしてあっという間に捕まった哀れな小鳥は・・・
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