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しおりを挟む「──ん。ジュン君!」
「っ!?」
突然違う名前で呼びながら腕を組んできた女に、圭は慌てて人違いだと告げようとして戸惑う。
俯いた女の身体が小さく震えているのが伝わってきたのだ。
「ちょっと遅れたからって帰るのは酷くない?」
まるで誰かにつけられているかのように、チラチラと後ろを気にする女を突き放せるほど圭は薄情ではない。
(オ、オッパイ)
「オッ・・・ごほんっ。え~と・・・」
薄情どうこうは言い訳にすぎなかった。
(これはあくまでも人助け。決して疚しい気持ちではない!)
言い訳めいたことを思いながら若干目が泳ぐ。
「お友達と話し込んで遅れちゃったの。許して?」
上目遣いで見つめられて初めて圭は気がついた。女の美貌に。
(何この美人!!)
「あ、はい・・・」
お目にかかったことないレベル高な美人と密着している現実を改めて思い知らされ、圭の緊張はかなり増した。
「──で、────が─」
「はい」
「私────と──」
「はい」
初対面、年上、レベル高が密着──完全にいっぱいいっぱいな圭は、自分に気を遣って話してくれている相手の言葉がまったく入ってきておらず、歩きながら返事をするだけの機械と化していた。
「ジュ~ン君。」
「!!?」
ツンツンと頬を突かれ女の方を見れば
(近ッ!!?)
あとちょっとでキス出来る距離に顔が。
気付けば組まれていた腕もいつの間にか恋人繋ぎになっており、圭は焦って言葉が出てこない状態に。
そんな圭の状態を知ってか知らずか、女は不思議そうに圭を見つめた。
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