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「「・・・・・・」」
2人より先に来ていたであろう、何組居るのか定かではないカップルたちの声が、美優たちの顔に朱を差す。
そう、カップルに有名とは、外や第三者等の刺激的要素を求めて止まない上級者カップルにだった。
鈴木の名誉のために言えば、ヤリたい盛り──もちろん本人も含まれる──ヤリたいのにヘタレでヤレない圭に、こういった刺激的なものを見ることで一線を越える勇気を持たせられるのではという、男の友情だった。
ロマンチックを求める年頃女子には、完全に余計なお世話で迷惑以外の何者でもなかったが。
(鈴木ーー!!おまっ、バカじゃねぇの!!)
残念ながら圭に思いは伝わらなかった。
「ごめん美優!俺ほんと知らなくてッ」
無言の美優に圭の焦りは募る。
(ヤバいこれ怒ってるだろ!?)
圭には死角で見えなかったが、美優にはあるカップルが良く見えていた。
人目を避ける場所に敷いたシートに座る男女・・・
初めて見る生々しいソレに、美優の目が逸らせなくなっていると
「─!!」
一瞬女の方と目が合った気がして身体が硬直した。
(バレた!?)
「わ、私帰る!」
「え、あっ、送るからっ」
真っ赤な顔で走り出した美優を圭は慌てて追いかけるのだった。
((き、気まずい))
何とか何時も通りにしようとしながらも、ギクシャクとしたまま特に会話らしい会話もなく、美優の自宅近くに到着してしまう。
(許してもらえるまで謝ろう!)
「ごめん美優!怒ったよな。ほんとごめん!」
「え、あっ、怒ってないから!だって圭も知らなかったんでしょ?」
「もちろん知らなかったよ!でもほんとごめん。」
「いいってもう。」
「良かった・・・」
「「・・・・・・」」
((やっぱり気まずい))
「「あのっ」」
「あ、な、何?」
「え、あっ、美優から言っていいよ。」
「や、えと、圭から言って?」
「ま、前から考えてたんだけどさ、美優はまだ俺んち来たことなかっただろ。うちの親も美優を連れてこい連れてこいってうるさくてさ。だから、さ、あの・・・今度の休みに家来ない?・・・だめ、かな?」
美優は無意識のうちに圭の手を見、無意識に頷いていた。
ハッとなり慌てて取り消そうと口を開いた美優と圭の言葉が重なる。
「マジで!?」
(嘘ついてごめん美優)
あまりにも嬉しそうな弾んだ圭の声に、やはり行きませんとは言えない空気だ。
「美優の好きなお菓子とドリンク用意しとくから!」
「う、うん。」
「美優。」
「うん?」
「大好きだよ。」
「・・・私も圭が大好き。」
見つめ合いどちらからともなくキスをした。
「ただいま──今日夜勤だった?」
「お帰り。変わってくれって言われちゃったのよ。夕飯は冷蔵庫だから温めてね。」
「行ってらっしゃい。」
母を見送りながら然り気無く玄関の靴を確認しホッとする。まだ兄は帰ってない。
(上手くやればお兄ちゃんと顔合わせなくて済みそう)
急いで着替え、急いで食事をし、お風呂を済ませた美優は急いで自室へ引っ込む。
自分勝手な理由で何も悪くない兄を避け、こんなことはダメだと分かっているし、いい加減態度を改めないとと思うが、どうしても踏み出せない。
(あ、飲み物持ってきてなかった)
美優はそっとドアを開け探り、気配がないのを確かめてから階段を下りた。
2人より先に来ていたであろう、何組居るのか定かではないカップルたちの声が、美優たちの顔に朱を差す。
そう、カップルに有名とは、外や第三者等の刺激的要素を求めて止まない上級者カップルにだった。
鈴木の名誉のために言えば、ヤリたい盛り──もちろん本人も含まれる──ヤリたいのにヘタレでヤレない圭に、こういった刺激的なものを見ることで一線を越える勇気を持たせられるのではという、男の友情だった。
ロマンチックを求める年頃女子には、完全に余計なお世話で迷惑以外の何者でもなかったが。
(鈴木ーー!!おまっ、バカじゃねぇの!!)
残念ながら圭に思いは伝わらなかった。
「ごめん美優!俺ほんと知らなくてッ」
無言の美優に圭の焦りは募る。
(ヤバいこれ怒ってるだろ!?)
圭には死角で見えなかったが、美優にはあるカップルが良く見えていた。
人目を避ける場所に敷いたシートに座る男女・・・
初めて見る生々しいソレに、美優の目が逸らせなくなっていると
「─!!」
一瞬女の方と目が合った気がして身体が硬直した。
(バレた!?)
「わ、私帰る!」
「え、あっ、送るからっ」
真っ赤な顔で走り出した美優を圭は慌てて追いかけるのだった。
((き、気まずい))
何とか何時も通りにしようとしながらも、ギクシャクとしたまま特に会話らしい会話もなく、美優の自宅近くに到着してしまう。
(許してもらえるまで謝ろう!)
「ごめん美優!怒ったよな。ほんとごめん!」
「え、あっ、怒ってないから!だって圭も知らなかったんでしょ?」
「もちろん知らなかったよ!でもほんとごめん。」
「いいってもう。」
「良かった・・・」
「「・・・・・・」」
((やっぱり気まずい))
「「あのっ」」
「あ、な、何?」
「え、あっ、美優から言っていいよ。」
「や、えと、圭から言って?」
「ま、前から考えてたんだけどさ、美優はまだ俺んち来たことなかっただろ。うちの親も美優を連れてこい連れてこいってうるさくてさ。だから、さ、あの・・・今度の休みに家来ない?・・・だめ、かな?」
美優は無意識のうちに圭の手を見、無意識に頷いていた。
ハッとなり慌てて取り消そうと口を開いた美優と圭の言葉が重なる。
「マジで!?」
(嘘ついてごめん美優)
あまりにも嬉しそうな弾んだ圭の声に、やはり行きませんとは言えない空気だ。
「美優の好きなお菓子とドリンク用意しとくから!」
「う、うん。」
「美優。」
「うん?」
「大好きだよ。」
「・・・私も圭が大好き。」
見つめ合いどちらからともなくキスをした。
「ただいま──今日夜勤だった?」
「お帰り。変わってくれって言われちゃったのよ。夕飯は冷蔵庫だから温めてね。」
「行ってらっしゃい。」
母を見送りながら然り気無く玄関の靴を確認しホッとする。まだ兄は帰ってない。
(上手くやればお兄ちゃんと顔合わせなくて済みそう)
急いで着替え、急いで食事をし、お風呂を済ませた美優は急いで自室へ引っ込む。
自分勝手な理由で何も悪くない兄を避け、こんなことはダメだと分かっているし、いい加減態度を改めないとと思うが、どうしても踏み出せない。
(あ、飲み物持ってきてなかった)
美優はそっとドアを開け探り、気配がないのを確かめてから階段を下りた。
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