怠惰な蟲使い(仮)

胸の轟

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心の底から働きたくないと思う。思うけど、働かないと大好きなお菓子が食べれないから仕事する。

働かなくてもお菓子が食べれる方法を、真剣に模索しながら仕方無く働いてるんだって言ったら渋い顔された。

真面目に生きろとか言われた。こんなに真面目に生きてるのに意味が分からない。
多分目が悪いんだと思う。そんな役立たずな目は抉った方いいと思う。なんなら今すぐ俺が抉ってあげてもいいよって言ったらガクブルしてた。まだ寒さが身に染みる季節でもないのに、寒がりなんだね。


疲れた心と身体のために、ザンドクーヘンが食べたくなったから、イネッサのところに行こう。




露店で賑やかな通りを、棒付き蜜飴を舐めながら歩いていたら、前からイネッサがやって来た。


「あら、ジグじゃないの。もしかしてウチのお店に来るとこだった?」

「うん。イネッサがフラフラしてるってことは、今日は店休み?」

「ううん、お店はやってるわよ。私がお休みなだけ。」

人の邪魔にならないように脇の方に寄る。


「ふ~ん。イネッサが居ないなら、行くのどうしようかな。」

「もしかして、私に逢いたくてお店行くところだったの?」


顔が嬉しそうだったから

取り敢えず「うん。」と答えておいた。

もちろんイネッサに会いたかったわけじゃなく、ザンドクーヘンに会いたかっただけ。

イネッサが店番じゃないなら、ザンドクーヘンをオマケして貰えないしやっぱり止めようかな?ーーう~ん、でもザンドクーヘンの気分だしなぁ。ーーオマケは望めないけど、やっぱり買いに行こう。


「ジグが逢いたがってくれるなんて嬉しい!」


抱きついて上目使いで俺を見てきた。ーーうん、あざとい。可愛いから許すけど。

「私も飴食べたい!」

ポケットから新しい飴を出そうとしたら、食べてるやつを取られた。


「新しい飴あげるよ?」

「これが良いの。ーーん、甘くて美味しい。」


密着してるイネッサの身体を抱き締めて、柔らかい抱き心地を楽しむ。


「ねぇ、ジグの家に行ってもいい?」
「どこか行くところだったんじゃないの?」

「友達と待ち合わせしてるんだけど、ジグの方が大事!」


俺はザンドクーヘンの方が大事だから。このまま家帰ったら、折角店に向かってた歩みが無駄になるから。改めてまた出掛けるとか面倒過ぎる。


「いやいやダメでしょ。友達は大切にしないと。先約優先しなよ。」

「むぅ~・・・ジグがそう言うなら、仕方無い。待ち合わせ場所に行くわ。」

「えらいえらい。」
「えへへ。」


頭なでなでしてやれば、上機嫌で去っていった。
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