怠惰な蟲使い(仮)

胸の轟

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「おい、しっかり見とけ。」

逃げられないように身体は押さえられ、逸らそうとする顔も掴まれ逸らすことも出来ないまま、目の前の光景を見せられる。


「オラッ!オラッ!どうだ気持ちいいだろっ、淫乱!」
「ハハッ!ったまんねぇなっ、この締め付け!貪欲に求めやがって淫乱が!望み通り突きまくってやんよ!オラッ!」


ケダモノに前と後ろを激しく攻め立てられ、そこに浮かぶのはただただ苦痛に歪む顔。快楽など微塵もない。


「ふふ、素敵な眺めだと思いませんか。」


少女との行為を真っ先に終え、男達に譲った“旦那様”が、隣でにこやかに話しかけてきた。


「眺めも素敵ですが、何より素敵なのは、あの少女から流れる艶やかな音色です。あれほど歓喜溢れる音色を聴かせていただけて、男冥利に尽きるというもの。招いた甲斐がありました。」


整った顔立ちに女性が見惚れる笑みを浮かべ、柔和で礼儀正しい振る舞いで油断を誘う。──その裏にドス黒い欲望をキレイに隠して。


何もかも全てが嘘だった。


少女と目が合う。その瞳は──何で私が何でどうしてなの何で私だけ何でなのひどいひどいひどいひどい私だけ何でひどい何でどうして憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎いー


「!!」

その瞳にどうしようもなく身体が震えた。


「貴女は今どんな風でしょうか?」


ハッとして逃れようとしたけど、勿論叶わなかった。“旦那様”の指が、誰もまだ触れたことのないそこに無遠慮に入り込み動く。


「いや!痛い!」


気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い嫌だ気持ち悪い怖い怖い誰か助けて!


「ふむ、ちっとも濡れてませんね。男女の営みが分からない年でもないでしょうに、交わりを見ても貴女は少しも興奮しないのですね。貴女以外にも当てはまることですが、経験がないために男性を受け入れた時の悦びや快感といったものを想像出来ないのでしょうね。今はまだ分からないでしょうが、男性を受け入れると、女性はとてつもない快感を得られ病み付きになるのですよ。あの少女のように。」


嘘だ。ならどうしてあの娘の顔はあんなに苦痛だと訴えているのよ!

イカれてる!コイツら皆イカれてる!


神様どうしてなの!?どうして私はこんなイカれた男達に囲まれて、見たくもないものを見せられているの!?何で私がこんな場所に居なくちゃいけないの!


好きな人と結ばれることを夢見てた。初めては大好きな人に捧げるんだって決めていた。

優しく導かれ慈しまれ、そうして受け入れた愛しい人の熱を感じる時、すごく満たされて幸せを感じるんだろうと、想像してはドキドキしてた。なのに・・・


「ああ、貴女にも早く快楽を教えて差し上げたい。貴女が私のために奏でる艶やかな音色を早く聴きたい。貴女も早く私を受け入れたいことでしょう。けれどもう暫く辛抱してくださいね。──あの玩具が壊れたら、その時は貴女の出番です。」


少女はジッと私を見ている。現在進行形で蹂躙され続ける彼女から見れば、私もコイツら同様の存在なのかもしれない。

彼女の瞳がとても恐ろしいけれど、それ以上に恐ろしくて堪らないのは──




どうか彼女が1日でも長く持ちますように。どうか私の悲惨な未来が1日でも遠くなりますように。


醜く浅ましい私は震えながら祈る。醜悪で救いようのない私は、ただただ自分の保身を願う。






ついにこの日がきてしまった。


ガチャガチャー

ギィッー


絶望への扉が開かれた。

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